g-lad xx

NEWS

三重県小林県議辞職勧告案が1票差で否決、伊賀のゲイカップルが反対議員に質問状

2022年10月22日

 これまでもゲイカップルの住所や電話番号を無断で公開するなど悪質な行為が問題視され、今月初めには自身のTwitterで「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸から」などと投稿していた小林貴虎県議(自民党)に対する辞職勧告決議案が三重県議会に提出されましたが、19日の県議会本会議で1票差で否決されました。住所や電話番号を無断で公開された被害者でもある伊賀市のお二人は21日、決議案に反対した議員23人に対して公開質問状を送付しましたた。
 

 辞職勧告決議案は、小林県議が「安倍晋三元首相の国葬に反対するSNS発信の8割が、隣の大陸からだった」などという差別的な投稿をTwitterで行なっていたことから、最大会派の「新政みえ」など3会派の議員が提出していました。
 小林県議は三重県での同性パートナーシップ証明制度の導入に強く反対していましたが、そのことについて2021年3月、伊賀市のゲイカップルが公開質問状を送ったところ、自身のblogでお二人の住所や電話番号を無断で公開し(アウティング禁止条例が施行される2日前でした)、非難を浴びました。県議会もこの行為を人権侵害であると認定し、小林県議は謝罪しています(が、その直後に二人を中傷するツイートに「いいね」を押していました)
 新政みえなど3会派の議員は、今回の投稿が差別や偏見を助長する内容であるうえに、過去にも同性カップルの住所を無断でSNSに公開するなど、再三にわたり県議会の信頼を失墜させたとして、小林氏に速やかに議員辞職を求める決議案を提出しました。
 県議会の本会議で、賛成派と反対派の議員が討論を行ない、決議案に対する採決が行われましたが、採決の結果、賛成が22票、反対が23票となり、わずか1票差で辞職勧告決議案は否決されました。
 新政みえの三谷哲央副代表は「1票差とはいえ否決されたのは残念。県議会の良識ある判断よりも、内向きの政党論理の判断が優先した結果。引き続き議会としては信頼回復に向け努力していかなければならない。真相解明についても努力を続けていく」と述べました。
 
 伊賀市の嶋田全宏さんは21日、県庁で記者会見を行ない、「県議会の過半数が小林県議の言動をかばい続ける姿を見て驚き、言葉を失いました」と悔しさをにじませ、「小林氏の投稿や、勧告案の否決に怒りを覚えているのは私たちだけではないと思う。反対した議員は周りの県民の声を聞いてほしい」「県民の方を向いて政治をしていない。政倫審などで追及してほしい」「きっちりと説明責任を果たしてほしい」と訴えました。
 お二人の公開質問状は、決議案に反対した理由、小林氏の「国葬8割」投稿への問題認識、今後県議会として政治倫理審査会を設置して事実関係や問題点の解明に取り組む考えはあるか、という3点を尋ねるものです。回答期限は31日。結果は改めて公開するそうです。
 このニュースに対してSNS上では、嶋田さんたちにエールを贈るコメントが上がっています。
 
 なお、小林県議は、旧統一教会信者であったのではないかという追及もなされています(こちらに元二世信者の方の証言が掲載されています。14日の県議会代表者会議でも厳しく追及されています)。同性パートナーシップ証明制度導入に強く反対し、ゲイカップルに対して悪質ないやがらせを行なったこととも符合します。この件も引き続き追及され、事実が明るみになることを願います。


 旧統一教会といえば、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が今年の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定、同性婚反対などアンチLGBTQ政策に賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが20日、明らかになりました。選挙で支援する見返りに教団側が掲げる政策への取り組みを求めたもので、「政策協定」ともいえる内容でした。斎藤洋明衆議院議員は実際に署名したとテレビで証言しました。
 こちらこちらの記事で、教団が国政や地方政治に巧妙に入り込んでLGBTQ施策を妨げてきたとお伝えしましたが、ついに「政策協定」の実態が明るみになったのです。
 これまで自民党の茂木敏充幹事長は「党として組織的な関係はない」と明言し、岸田首相も「特定の団体の働きかけが政策の決定に影響を与えたとは認識していない」と答弁してきましたが、所属議員が政策協定を結んでいたとなれば、統一教会が政策に影響を与えていたと言うほかありません。
 朝日新聞の調べによると、少なくとも衆参計5人の自民党議員が署名を求められていて、確認書を提示された議員は5県にまたがっています。教団側が国政選挙を通じて幅広い地域で政策実現の働きかけをしていた可能性があります。教団関係者は取材に対し、全国各地で数十人規模に署名を求めたと証言しています。同紙は社説で「所属する全国会議員を対象に、教団とのやりとりの実態を早急に調査し、公表すべきだ」としています。(そのほか、毎日新聞「首相は「関係を絶つ」と繰り返し強調してきた。それならば、全容を明らかにすることが不可欠だ」、信濃毎日新聞「自民党は教団との「関係を断つ」と強調している。未解明の問題を放置したままでは清算できない」、琉球新報「有権者はごまかせない。問われているのは自民党の自浄努力である」など各紙の社説でも批判されています)
 


参考記事:
「国葬反対、8割大陸」小林県議の“辞職勧告”否決の理由を問う 反対した議員に質問状 住所を無断で公開された男性カップル(中京テレビ)
https://www.ctv.co.jp/news/articles/725ske540z0jutlc.html
「言葉を失った…」三重県議会 小林貴虎議員の辞職勧告に反対した23人の議員に伊賀市の男性カップルが公開質問状(CBCテレビ)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/184739
「8割が隣の大陸から」小林貴虎三重県議の辞職勧告決議案 1票差で否決 「次の選挙も出馬するつもり」(三重テレビ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3af1b78516df24b7942544bcde345c5b3e3bb07b
伊賀の男性、反対県議に質問状 小林氏辞職勧告案(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221022/ddl/k24/040/153000c
辞職勧告反対の23県議に質問状 「8割が隣の大陸から」投稿問題(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQBP6TKHQBPONFB002.html
辞職勧告「反対県議」に質問状 伊賀の同性カップル 小林県議の投稿問題 三重(伊勢新聞)
https://www.isenp.co.jp/2022/10/22/83159/


“統一教会”関連団体 複数の自民党議員が「推薦確認書」に署名(日テレNEWS)
https://news.ntv.co.jp/category/politics/64bc1a27b00041b7870bc3a5aca29a1c
【独自】旧統一教会側が選挙前に「推薦確認書」 署名した自民党議員が証言「一種の政策協定だと理解」(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/183457
旧統一教会、自民議員と「政策協定」=衆院選の支援条件、署名も―岸田首相、実態把握の意向(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022102000918
旧統一教会側、自民議員に「政策協定」 数十人規模か 応じた議員も(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQBM74N3QBCUTFK00W.html
自民議員、政策案署名 衆院選前 旧統一教会の求めで(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221021/ddm/001/040/117000c
「推薦確認書」への署名を自民党国会議員に要求 旧統一教会の関連団体 教団「組織としてやっている」(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/209288
自民党と統一教会の新たなズブズブ関係が発覚!「政策協定」疑惑では大物幹部の名前、防衛副大臣は教団関係者に違法な便宜(LITERA)
https://lite-ra.com/2022/10/post-6238.html
(社説)自民党と教団 「政策協定」全員調査を(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15451204.html
教団側との「政策協定」 自民は徹底的に再調査を(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221022/ddm/005/070/132000c
〈社説〉教団と政策協定 「影響せず」となぜ言える(信濃毎日新聞)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022102101031
<社説>旧統一教会推薦確認書 全議員調査し公表せよ(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1603846.html

INDEX

SCHEDULE