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『片袖の魚』が映文連アワード2022優秀作品賞(準グランプリ)に輝きました

2022年11月29日

 日本で初めて、公募で選ばれたトランス女性がトランス女性の役を演じた記念碑的な映画『片袖の魚』が映文連アワード2022優秀作品賞(準グランプリ)に輝きました(おめでとうございます!)


 『片袖の魚』は、これまでトランスジェンダー女性の役をシスジェンダーの男性の俳優が演じることが多かったのに対して、それではトランス女性に対する誤ったイメージが世間に広まり続けてしまう、トランス女性の俳優を積極的に起用し、当事者の表象がもっとメディアで届けられる必要があるという信念のもと、国内外の映画祭で高い評価を得ているオープンリー・バイセクシュアルの東海林毅(しょうじつよし)監督がアライとして企画・製作した短編映画です。
 2021年夏の公開以来、高く評価され、今も全国各地で上映され続けています。
 これまでにも「Q-Fest(ヒューストン国際LGBTQ映画祭)」最優秀中編賞、「KASHISH Mumbai Queer Film Festival」国際コンペ部門最優秀主演俳優賞、香港レズビアン&ゲイ映画祭最優秀短編賞などを受賞してきましたが、このたび、栄えある映文連アワードの優秀作品賞(準グランプリ)に輝きました。
 日本映画で、LGBTQ(性的マイノリティ、クィア)の監督が、LGBTQを描いた作品で日本の映画賞を受賞するのは、橋口亮輔監督の『恋人たち』(2015)以来ではないでしょうか。本当に喜ばしいことです。
 
 映文連アワードは「プロフェッショナルが選ぶプロフェッショナルの仕事にふさわしい作品」を積極的に発掘・顕彰することによって短編映像業界の活性化を図るためのアワードで、文部科学省や経済産業省も後援に入っているような名誉ある賞です。
 11月28日(月)、国立新美術館講堂において映文連アワード2022授賞式が開催され、東海林監督も受賞者として賞状とトロフィーが贈られました。
 受賞作品上映会は11月29日(火)・30日(水)の両日、「International Corporate Film Showing 2022」(世界の優秀企業映像を見る会)とともに渋谷のユーロライブにて開催されます。『片袖の魚』の上映は、30日(水)16:45からです。18:50から監督たちによるトークセッションもあります(詳細はこちら

※ちなみに今回の映文連アワード2022では、主人公の女性が「自分はゲイかも」と友人の健斗にカミングアウトされる映画『ジンジャーミルク』(今井ミカ監督、2019)も「パーソナル・コミュニケーション部門」の部門優秀賞を受賞しています。


 
 ここ数年、LGBTQ(性的マイノリティ、クィア)の監督がLGBTQを描いた作品で海外の映画賞を受賞するケースが結構たくさん出てきています。素晴らしいことです。

 映画『沖縄カミングアウト物語〜かつきママのハグ×2珍道中!〜』(2021)はつい先日、「International Queer Film Festival Playa del Carmen」ベストドキュメンタリー賞を受賞しました。ほかにも、シアトル映画祭ベストLGBTQ長編ドキュメンタリー映画賞、「the Best Actor & Director Awards – New York」BEST DIRECTOR OF A DOCUMENTARYなど多数の賞を受賞しています(これまでに合わせて10個くらい受賞しているそうです)

 また、TheStagPartyShowの映画『美しい人』(2018)は、ロンドン国際映画祭最優秀ヘア&メイク&コスチューム賞、ブロードステアーズIFF2021最優秀外国語作品シネマトグラフィー賞および最優秀ヘア&メイク&コスチューム賞、WICA2021最優秀外国語作品助演男優賞、「Best Shorts Competition 2022 March」LGBTQ+部門表彰賞を受賞しています。
 
 『タンジェリン』や『片袖の魚』もそうですが、iPhoneなどのスマホで撮影されたクィア映画が世界に羽ばたいていく時代です。たとえ低予算でも、作品に込めたLGBTQとしての思いや表現が素晴らしければ、きっと内外で評価されます。
 もしかしたら次に映画賞を受賞するのは、あなたの作品かもしれません。
 
 

参考記事 
映文連アワード2022受賞作品決定!
https://www.eibunren.or.jp/top/eibunren-award2022_4.html

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