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最高裁が同性パートナーも犯罪被害者給付制度の対象になるかどうか、判断することになりました

2024年01月17日

 犯罪被害者の遺族らが受け取れる公的な給付金を同性パートナーが受け取れるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は17日、当事者双方の意見を聞く弁論を3月5日に開くことを決めました。「同性パートナーは給付対象にならない」とした二審の判断が見直される可能性があります。

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同性のパートナーを殺害された遺族の方が、犯罪被害遺族給付金の支給が認められず、裁判を起こしました
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名古屋地裁、同性パートナーは犯罪被害遺族給付金支給の資格なしと判決
https://gladxx.jp/news/2020/06/6411.html
「社会通念」を理由とした犯罪被害者給付金不支給の判決に、各方面から厳しい批判の声が上がっています
https://gladxx.jp/news/2020/06/6413.html
犯罪被害者給付金不支給訴訟で名古屋高裁が控訴を棄却、「社会的な意識が醸成されていなかった」 
https://gladxx.jp/news/2022/08/8059.html

 2014年、名古屋市在住の内山靖英さんは、約20年間一緒に暮らしていたパートナーの方を殺されるという悲劇に見舞われました。犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)は、被害者の遺族に遺族給付金を支給すると規定し、「遺族」の範囲として、婚姻届を出していなくても「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」を含むと定めています。内山さんは「パートナーとの関係は異性間の事実婚と同じであり、自身も遺族に当たる」として2017年末、犯罪被害者給付金を申請しましたが、愛知県公安委員会から不支給の裁定を受けました。これに対し、2018年7月、裁定の取消しを求める訴訟を名古屋地裁に起こしました。
 2020年6月、一審の名古屋地裁は「同性間の共同生活が婚姻と同視できるとの社会通念が形成されていることが必要だが、裁定時(2017年)に形成されていたとはいえない」として訴えを退けました。これに対し、LGBTQコミュニティから「“社会通念”という名目のもと、司法が積極的にマイノリティを差別する極めて不当な判決だ」「“社会通念”とが形成されていないという論理は明らかに詭弁であり、無限ループのようだ」「多くの当事者が、われわれは“社会通念”で差別されてもしかたがない人間であると裁判所によって認定されたのかと、深い悲しみや憤りを感じた残酷判決だ」といった厳しい批判の声が上がりました。
 2022年8月の控訴審判決も「社会的な意識が醸成されていなかった」として訴えを棄却するものでした。弁護団は「(同性パートナーが)多数派の常識になるまであと何十年待てばいいのか」「パートナーシップ制度が次々につくられるなど、地方自治体や企業の取組みを全く無視している。いったいどのような状況になれば同性パートナーをめぐる社会的意識が醸成されたと認定するのか不明確だ」と批判、内山さんは上告を決めました。

 
 最高裁は17日、当事者双方の意見を聞く弁論を3月5日に開くと発表しましたが、これは二審の判断を変えるのに必要な手続きであり、これまでの判決が覆される可能性があります。
 最高裁が犯罪被害給付制度の支給対象に同性パートナーが含まれるか判断するのは初めてです。

 同性カップルのパートナーシップの認定をめぐっては、2019年9月に宇都宮地裁真岡支部が「同性カップルであっても内縁に準じた法的保護に値する」との見解を示しています。2020年3月の東京高裁での判決でも、内縁が認められています。
 最高裁も2021年3月、「同性カップルも婚姻に準じた関係であり法的保護の対象になる」と認めています。
 今回の裁定においても、同性カップルも婚姻に準じた関係であり法的保護の対象になることを踏まえ、犯罪被害給付制度の支給対象だとする適正な判断をしていただけることを期待します。

 なお、この訴訟を支援したいという方はぜひ、CALL4「同性パートナーにも犯罪被害の遺族給付金を」訴訟のページからご支援をお願いいたします。

 

参考記事:
同性パートナーへの遺族給付金巡り最高裁が弁論へ 不支給“妥当”判決見直しか(テレ朝)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000332969.html
同性パートナーの犯罪給付金訴訟、見直しか(共同通信)
https://nordot.app/1120244082059543000
同性パートナー遺族給付金、弁論へ=「対象外」の二審見直しか―最高裁(時事通信)
https://sp.m.jiji.com/article/show/3144125
犯罪被害者の遺族給付金、同性パートナーも対象か 最高裁が初判断へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS1K4R1FS1KUTIL025.html

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