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COLUMN

2023年6月のHIV検査キャンペーン

6月1日〜7日はHIV検査普及週間。各地でHIV検査などのキャンペーンが展開されます。梅毒やエムポックス(サル痘)の流行も続くなか、定期的に検査を受けることの重要性も高まっています。

2023年6月のHIV検査キャンペーン

12月1日の世界エイズデーの時期はHIVに関する様々なキャンペーンが展開されますが、6月1日〜7日もHIV検査普及週間で(東京都は6月1日〜30日が東京都HIV検査・相談月間)各地の自治体でHIV検査などの取組みが展開されています。昨今、HIV感染は減少傾向にありますが、梅毒は過去最多ペースで広がっており、エムポックス(サル痘)の流行も続いています。この機会にHIVや梅毒などの検査を受けることで、ご自身の(そしてコミュニティの)セクシュアルヘルスを良好に保つことにつながります。6月に実施されるキャンペーンをまとめてご紹介します。
 

HIV/エイズ、梅毒、エムポックス(サル痘)

 3月に昨年のHIV新規感染報告数が870人で過去最少を記録というニュースをお伝えしました(PrEPの普及が一役買っていることは間違いないと思われます)。ただし、沖縄県で20年ぶりにエイズ患者報告(エイズを発症してはじめてHIV感染したことがわかった方)が新規感染の50%を超えたり(詳細はこちら)、実は東京都でも、今年1月から5月までの新規感染報告のうちエイズ患者が昨年より少し増えていると報じられており(東京都エイズ通信第190号より)、検査を受けずにいてエイズを発症してわかる方が多くなってきているということも言えそうです。

 梅毒の感染も過去最多ペースで広がっています。国立感染症研究所は5月30日、今年に入り梅毒の患者数が5453人(速報値、21日時点)に上ったことを発表しました。うち東京都は1422人です(内訳は男性921人、女性501人)。過去最多だった昨年を上回るペースで増えています。梅毒については、先日、aktaで素晴らしい展覧会も行なわれ、決して侮れない病気であることを実感した方もいらしたと思います。梅毒はオーラル(フェラ)や性器どうしの接触、皮膚や粘膜の接触、リミング(ケツ舐め)でも感染しますし、一度治っても何度でも感染しますし、感染力が強い病気です。つまり、セックスをしている限り(よほどバニラじゃない限り)誰でも感染してしまう可能性があるのです。なので、みんなで定期的に検査を受けて、感染がわかったらすぐ治療する、というふうにしていくことが大切です。梅毒の基本的な情報についてはぜひaktaの特設サイト「梅毒にご用心」をご覧ください。そして、この機会にぜひ、検査を受けましょう。
 
 エムポックス(サル痘)も、じわじわと広がり続けています。5月15日〜21日のエムポックス感染報告は東京、千葉、愛知、大阪で14件ありました。日本のこれまでの感染報告数は163件に達しています(詳細はこちら)。残念ながらエムポックスは現在、性感染症のように検査を受けることもできませんし、ワクチンも濃厚接触者しか受けられません(しかもHIV陽性者は受けられません…国の施策が待たれます)。エムポックス(サル痘)の情報についてはぜひ、こちらのコラムをご覧ください。もし発疹が現れたら、すぐに病院やクリニックを受診し、検査や治療につなげることが大切です。
 
 以前もお伝えした通り、梅毒に感染しているとHIVにもかかりやすくなります(梅毒に限らず、粘膜に傷があるとリスクが20~30倍高くなると東京都新宿東口検査・相談室の城所室長もおっしゃってます)
 エムポックスは、(のたうち回って眠れなくなるくらい)痛い発疹が出たりするものの、1ヵ月くらいで治り、亡くなることはほとんどないとされています。しかし、エイズを発症したりして免疫力が著しく低下している方が亡くなった事例も海外で報告されています。万が一の事態を防ぐためにも、定期的にHIV検査を受けることが大切です。
 
 aktaのYouTube番組「夏が来る、今こそ定期的に検査を受けてセックスを楽しもう!」では、基本的に年に1回、セックスの頻度が高い方やPrEPをしている方は3ヵ月に1回、HIV検査を受けるよう、呼びかけられています。
 
 例えば東京都新宿東口検査・相談室では、6月は通常のHIV・梅毒に加え、クラミジア・淋菌の検査をやってくれたりもします。いま特に何か症状があるわけではないとしても、6月に検査を受けると何かといいことがあったりするのです。


厚労省 HIV検査普及週間

 6月1日〜7日は、厚労省と公益財団法人エイズ予防財団が主唱するHIV検査普及週間です。HIV感染症は予防、早期発見、早期治療が大切だということで、HIV検査の浸透・普及を図ることを目的に2006年に創設されました。
 厚労省のTwitter公式アカウントでは「6月1日から6月7日は「HIV検査普及週間」です。HIVおよび梅毒を含む性感染症の検査を実施している自治体があります。少しでも不安のある方は、早めに検査を受けましょう。自治体により実施項目などが異なります。事前にお電話等でご相談をお願いします」と呼びかけられています。
 HIV検査普及週間の特設ページでは、札幌市から那覇市まで、地方自治体が実施する検査の取組みを一覧で紹介したり(Excelですが…)、検査についての情報(HIV検査相談マップなど)や、検査で陽性とわかった時のサポート(ぷれいす東京など)といった基本的な情報が紹介されています。


東京都 東京都HIV検査・相談月間

 東京都の今年1月1日から5月21日までのHIV新規感染者報告数は88件(昨年も88件)、エイズ患者は23件(昨年は21件)、計111件(109件)でした(東京都エイズ通信第190号より)
 東京都は6月1日〜30日を「東京都HIV検査・相談月間」と定め、HIV・梅毒検査の拡充を行なったり(保健所でのHIVや梅毒の即日検査・通常検査の実施日が追加されます)、都庁でHIV/エイズや梅毒に関する情報のパネル展示を行なったりします(6月12日~18日、第一本庁舎1階中央アートワークスペースにて)。詳細はこちらのページをご覧ください。


 
全国各地のトピック

 名古屋では先週、NLGR+で郵送検査キットが500人分配布され、一足先に、大規模に検査キャンペーンが展開されましたが、6月には全国各地でHIV検査の拡充の取組みが実施されたり(沖縄ではコロナ禍以降初めて保健所でのHIV無料検査が再開されます)、この6月にHIV陽性者支援のイベントを開く地域などもあります。そうしたトピックを地域別にご紹介します。
 
◎札幌
 レッドリボンさっぽろは6月17日(土)、HIV陽性者交流会inHOKKAIDOを開催します。 
「「同じ病気の人の話を聞いてみたい。会ってみたい」という声が聞こえてきたのは2011年頃でしょうか。病院には、親身に話を聞いて治療にあたってくれる「味方」がいる。でも同じ生きづらさを感じている「仲間」とはなかなか出会えない。だからこそ、地元で陽性者が集まって話ができるピア・ミーティングの場があったら――。2013年9月にJaNP+さんとの共催でスタートした交流会事業を、2014年6月から定期開催しています。お茶とお菓子を囲みながら、少人数で気楽におしゃべりしませんか? お互いの不安や疑問を同じ当事者の目線で共有したり、情報交換したり。多くのHIV陽性者が抱えている「自分と同じHIV陽性の人と会ってみたい」「こんなとき、他の人はどうしてるんだろう?」といったニーズに応えるプログラムです。参加者はもちろん、交流会のスタッフも全員HIV陽性者です。プライバシーを守れるよう、事前申込制で行ない、会場は参加者のみにお伝えします」(公式サイトより)

HIV陽性者交流会inHOKKAIDO
日時:6月17日(土)14:00~16:30 (開場は30分前) ※偶数月第3土曜に開催
会場:参加者にのみ開催の一週間前を目途に通知します
ご参加いただける方:HIV陽性者であれば、性別・セクシュアリティ・感染経路・居住地問わず、どなたでもご参加いただけます
定員:最小3名~最大12名 ※参加者数が定員に満たない場合は中止となります
参加料:500円(会場費・お茶菓子代として)
参加方法:こちらのフォームからお申し込みください

 
◎仙台
 仙台のHIV予防啓発団体「やろっこ」が推していた6月の仙台市HIV検査は、申込みがとても多く、すでに満席になったそうです。
 7月1日(土)の休日即日HIV・梅毒検査が6月1日午前0時から予約開始になるそうですので、仙台方面のみなさん、こちらからお早めにお申し込みください。


◎新宿
 昨年復活した新宿区保健所のゲイ・バイセクシュアル男性向け検査会が、今年も6月8日に開催されます。無料でHIV・梅毒・クラミジア・B型肝炎というたくさんの項目を一度に検査していただけますので、お得です。この機会にぜひ。
 
ゲイのためのHIV・性感染症検査
6月8日(木)18:00-19:00
会場:新宿都税事務所1階(新宿区保健所健診会場)(東京都新宿区西新宿7-5-8)
検査項目:HIV・梅毒・クラミジア・B型肝炎
無料・とく名・予約制
定員:45名
※外国語の対応も可能(当日先着10名まで)
※ふだん生活している性別で受けられます



◎横浜
 神奈川県のLGBTQ支援団体「SHIP」では、毎月ゲイ・バイセクシュアル男性向けのHIV検査会を実施しています。6月は19日(月)に実施します。HIVだけでなく梅毒とB型肝炎も検査できます。

SHIP ゲイのためのHIV検査
日時:2023年6月19日(月)17:40-20:00    
会場:かながわ県民センター 709
検査項目:HIV、梅毒、B型肝炎


◎名古屋
 6月25日、名古屋市主催のHIV等無料検査会「iTesting@Nagoya」が実施されるそうです。NLGR+でHIVと梅毒の郵送検査キットを受け取った方もいらっしゃるかと思いますが、この検査会ではB型肝炎・C型肝炎も含まれていますので、もし気になる方は受けてみてもよいのではないでしょうか。NLGR+に行っていない方もぜひ。
 
第1回 iTesting@Nagoya
日時:6月25日(日)10:00-16:00
※当日は採血のみで、結果は翌日以降に専用サイトから確認できます
会場:ナディアパーク6階 国際デザインセンター セミナールーム3(名古屋市中区栄3-18-1)
無料
完全予約制(予約は12日から、こちらのサイトで受け付けます)
検査項目:HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎(4項目必須)
定員:300名(先着順)



◎大阪
 大阪府は、6月1日〜7日のHIV検査普及週間に合わせて特設サイトを設け、検査・相談を受けられる場所の情報を紹介したり、啓発動画を載せたりしています。HIV・梅毒検査は保健所以外でも受けることができます。chotCAST(大阪市中央区)では土日・夜間にも検査をしているそうです(匿名・無料・要予約)
 なお、コミュニティセンターdistaで2ヵ月に1回開催されているHIV・梅毒の検査「ピタッとちぇっくん!」は、次回は7月2日(日)です。

 

◎松山
 松山を中心に中四国で活動してきた「HaaTえひめ/BRIDGEプロジェクト」が、このたび「カラフルドットライフ」に改称し、法人化しました。カラフルドットライフは広くLGBTQのことに携わりますが、セクシュアルヘルス(性の健康)部門のTwitterアカウントはこちらになりますので、中四国の方はフォローしてみてください。松山市保健所では今年も6月4日(日)にゲイ・バイセクシュアル男性向けの検査会を開催するそうです。

ゲイ・バイ男性限定HIV検査会
日時:6月4日(日)16:00-17:30
会場:松山市保健所(松山市萱町6-30-5)
検査項目:HIV・梅毒・B型C型肝炎 
無料、匿名、事前の予約が必要(ネット予約はこちらから)


 
◎福岡
 福岡市では、毎月第2日曜の休日検査のほか、6月4日(日)に中央区保健福祉センターで特例検査として即日検査も行なわれるそうです。コミュニティセンターhacoのサイトでは、こうした検査の情報をはじめセクシュアルヘルスに関する様々な情報をお届けしています。



◎沖縄
 6月1日〜7日のHIV検査普及週間に合わせ、沖縄県内の保健所でHIV無料検査が再開されることになりました。各保健所でHIV即日検査を拡充して実施します。検査は予約制で無料・匿名で受検可能です。梅毒についても無料・匿名検査を実施しています。詳しくはこちらをご覧ください。
(下のイラストは、那覇市の保健所の職員さんが描いたんだそう。フレディ・マーキュリーへのオマージュ…素晴らしいですね)





オンライントークイベント「手記集「わたしたちの声」から考える差別と抑圧」

 PrEPについての日本語情報サイト「PrEP@TOKYO」も運営しているカラフル@はーとは、昨年12月、メンタルヘルスの問題を抱えるLGBTQ当事者による手記集「わたしたちの声」を発行しました。6月3日、その手記集を紹介しながら、メンタルヘルスとセクシュアリティ・ジェンダーに対する社会規範と抑圧がLGBTQの人たちに与える影響について考えるオンライントークイベントを開催するそうです。テーマにご関心のある方はぜひ、参加してみてください。

手記集「わたしたちの声」から考える差別と抑圧
日時:6月3日(土)20:00-21:00
YouTubeでのライブ配信(申込み者にURLをお知らせします)
参加費無料(活動資金のための寄付歓迎)
チケットはこちらから
ゲスト:
表見聖(日本キリスト教団 三・一教会 牧師)
斎藤恵文(前カラフル@はーと共同代表)
吉田絵理子(川崎協同病院総合診療科、一般社団法人にじいろドクターズ)
主催:カラフル@はーと


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