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沖縄県知事選・統一地方選候補者のLGBTQ関連政策は?

2022年09月07日

 沖縄では9月11日(日)に沖縄県知事選挙、沖縄県議会議員補欠選挙(那覇市・南部離島選挙区)、宜野湾市長選をはじめ4市町村の首長選挙、20を超える市町村の市町村議会議員選挙(統一地方選挙)が行なわれます。
 あまり情報は多くはないのですが、候補者のLGBTQ関連の政策などについて、わかる範囲でお伝えします。


 まずは県知事選ですが、沖縄タイムスが県知事選に出馬する3名の候補者に「同性婚の法制化に賛成しますか?」との質問をしていました。以下、回答をご紹介します。

・玉城デニー氏
 同性婚の法制化に賛成です。同性カップルは、相続権や税金の配偶者控除などの権利が認められていないなど、さまざまな不利益を被っています。沖縄県は昨年3月、「性の多様性尊重宣言」を行ない、相談窓口を設けるなどの取組みを始めています。全ての人に結婚の自由を保障する民法改正案の国会での成立に強く期待します。

・佐喜真淳氏
 自治体の中にはパートナーシップ制度を設けているところがある一方で、司法の場でも判断が分かれており、まだ議論が尽くされていないのではないでしょうか。G7で同性婚を認めていないのは日本だけであり、多様性を尊重する観点から批判があることも承知しています。さらに議論を重ね、国民的な合意を得ることが大切です。

・下地幹郎氏
 愛し合う自由は、憲法で保障された権利です。しかしながら同性カップルにおいては、近年、自治体レベルでパートナーシップ制度等が施行されているものの、現行法上、婚姻や相続をはじめとするさまざまな制約があることは事実です。そのことから、同性婚についての議論を深めていくことが大事だと考えています。

 このように、明確に賛成したのは玉城候補だけでした。
 なお、玉城デニー知事は昨年、都道府県としては初めて「沖縄県性の多様性尊重宣言(美ら島にじいろ宣言)」を発するとともに「LGBTQ にじいろ相談」を開始し、同性パートナーシップ証明制度導入についても前向きな考えを示しました。昨年のピンクドット沖縄にも来場し、「LGBTQの権利は人権であり、すべての人の命を大切にし、すべての子どもたちが夢や希望を持って生きられるよう」県としても取り組んでいくと語りました。
 
 
 地方の選挙のLGBTQ関連政策といえば、やはり気になるのが同性パートナーシップ証明制度のことですが、琉球新報が統一地方選の29市町村議選の立候補予定者に対して行なったアンケートの結果によると、500名の回答者のうち54%が制度に賛成したものの、37.2%が無回答、5.6%が反対、その他は3.2%で、無回答やその他を選択した立候補予定者の中には制度になじみのない方も多かったそうです。都市部では制度に対する理解が広まっているものの、地方では制度そのものになじみがないことから普及活動が必要だとの声も上がったそうです(できれば各候補者の回答が知りたいところですが、残念ながら500名全員の回答は公開されていないようです。ただ、別の記事で、宜野湾市長選に臨む仲西春雅氏は「多様性を尊重する市を目指し、パートナーシップ制度を導入」と明言していることがわかっています)
 琉球新報が2019年に沖縄県内全41市町村を対象に実施した調査では、石垣市、浦添市、糸満市、豊見城市、西原町、恩納村、粟国村の7市町村が同性パートナーシップ証明制度の導入を「検討している」ことが明らかになりましたが、その後、実際に導入したのは浦添市のみです。結果、県内ではまだ那覇市と浦添市だけという状況で(那覇市は全国5番目で、たいへん先進的でした)、LGBTQフレンドリーなイメージの割には制度導入が進んでいません。上記の候補者アンケートでも指摘があったように、都市部ではない地域の自治体では、そもそも制度が認知されていないという現状もあるようです。(県内の全市町村で速やかに制度が整備されるのは難しいと判断し、県として導入することを決めた長野県のように)やはり県として導入を実現していただきたいと願う方も多いのではないでしょうか。
  

 なお、沖縄県内の自治体のLGBTQ施策といえば、2020年、宜野湾市議会で「性の多様性尊重条例」の制定をめぐって主要与党会派が「性的指向」や「多様性」などの文言を理由に反対し、否決されるという出来事がありましたが(詳細はこちら)、この条例に関して世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が反対の立場で議員と接点を持っていた実態が琉球新報の取材で明らかになりました。2019年に同教団が関与する「希望の家庭講演会」が市の公民館で開かれ、宜野湾市議4人が出席しました。教団関連団体の元幹部が講師を務め、同性婚や自治体のパートナーシップ制度について「家庭と社会を破壊する」「悪魔の戦略」などと述べたそうです。その講演の後に登壇した市議会の上地安之議長は、性の多様性について「公的機関が条例を作って認めるのは、未来の日本国にとってあまりにも情けない」と発言しました。市議のほか宮崎政久衆院議員や又吉清義県議も一部、参加していたそうです。
 同様に、浦添市では、2019年2月にパートナーシップ証明やLGBT差別禁止を含むセクシュアルマイノリティに特化した全国初の条例の制定を発表しましたが、一部の団体から反対の署名が寄せられたことから、松本市長が議会への提出を見送りました(もう一度再検討が行なわれ、昨年、無事に採択されました)。その「一部の団体」が、旧統一教会の関係者が参加する市民団体だったということが琉球新報の記事で明らかになりました。上記の2019年の宜野湾市の講演会でも浦添市の条例案に慎重な対応を求めるチラシが配られ、教団関係者が「反対のための活動を応援する」と語っていたそうです。
 
 沖縄県が2020年に実施した県民意識調査によると、性の多様性について7割以上の人が肯定的な考えを示した一方、自分の性や性的指向について悩んだことがある人の76%が「差別、偏見がある」と回答するなど、まだまだ当事者が生きづらさを感じている現状が明らかになっています。各地の自治体で、なんとかLGBTQの生きづらさの解消につなげようと性の多様性条例の制定などを進めようとしてきたのに、このように旧統一教会が反対し、条例の成立を阻んできたのです。
 なお、県知事選候補者の佐喜眞氏は旧統一教会と深い関係があり(詳細はこちら)、下地氏も2001年に旧統一教会関連の集会に出席していたことが報じられています(詳細はこちら
 
 

参考記事:
Q)同性婚の法制化に賛成しますか?【私は聞きたい沖縄知事選2022】(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1019878
女性の政治参加やパートナーシップ制、議員への立候補予定者はどう考える?統一地方選アンケート 沖縄(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1577260.html
性の多様性条例に反対を主張 旧統一教会の集会に宜野湾市議ら出席(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1577055.html

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