PEOPLE
座談会「洋上の楽園・ゲイクルーズを語り尽くす」
Atlantisゲイクルーズにモニターとして参加してくれたセイタさんとコウさんに、その楽しさや感動、夢のような日々について思うぞんぶん、語っていただきました。
ビックリするほどゴージャスだった「Mariner of the Sea」号、メキシコ・リビエラの寄港地の予想以上の美しさ・楽しさ、Atlantisがプレゼントしてくれた毎日のパーティやアトラクションの圧倒的な楽しさ・エクスタシー、世界中から集まった仲間たちと心を通わせた時間の素晴らしさ…(多かれ少なかれつらい思いをしてきたからこその)ゲイを祝福し、愛する気持ちにあふれていました。ある意味、「ゲイの理想郷」。素晴らしいクルーズでした。
「g-lad xx」での呼びかけに応え、モニターとして参加してくれたセイタさんとコウさんに、後藤純一がクルーズの感想をお聞きしました。
「至高のゲイ体験」Atlantisクルーズ・レポート
1日目:いざ、洋上の豪華ホテルへ!
2日目:青空の下のパーティとフィギュア
3日目:天国のようなビーチとキラキラな夜
4日目:泣けるほどハッピーなパーティと「ゲイのワンダーランド」
5日目:クルーズのクライマックスとも言うべき濃厚な1日
6日目:ベリンダ・カーライルと美しいフィナーレ
最終日:涙と感動のラストダンス
——ゲイクルーズ、本当に素晴らしかったですね。あの1週間をいっしょに過ごしたことで「同じ釜の飯を食った」仲間みたいな気がしています。いろいろあるでしょうが、クルーズの中でいちばん楽しかったのはどんなことですか?
セイタ:初めてのクルーズだったので、見るもの、聞くもの、経験すること、すべてが楽しかったです!
コウ:僕もそう。
——その中でも特に「これは」というところを挙げるとすれば?
セイタ:ホントに楽しかったのは、日を追うごとに知り合いが増えていくこと。ディナーで相席になったとき、客船からボートで陸に移動するとき、エレベーターに乗り合わせたとき、タバコを吸っているとき…さまざまな場面でいろいろな人と知り合いました。初めてのクルーズだと言うと、知ってる限りの日本語をしゃべってくれたり、一緒に写真を撮ろうと誘ってくれたり、日本のことを質問してくれたり、次の寄港地の情報を教えてくれたり…みんな本当に親切にしてくれたし、楽しかったです。
——本当に気持ちの良い、素敵な人たちばかりでしたよね。クルーズの雰囲気がそうさせるのかも。コウくんは?
コウ:世界中から集まったゲイが思い思いの格好で挑むパーティ、無数の「Nice to meet you」、シングル・ディナーでたくさんの外国人と会話したこと、ため息が出るほど美しいラヴァーズ・ビーチ…日常では体験できない、かけがえのない思い出ばかりです。
——天国のような、夢のような日々でしたね。では、いちばん驚いたのはどんなことですか?
コウ:施設やサービスが想像よりはるかに充実していたこと。24時間無料で食べ放題だし、フィギュア・スケートやミュージカルとか「これがなくても十分満足なのに、まだサービスしてくれるの!? ちゃんと利益出てるの?」と思いました。
——ベリンダ・カーライルとかね。数年前だったら「どんだけ!」って叫んでた。
コウ:間違いなく、値段以上の価値があったと思います。
セイタ:あんなスゴいサービス、見たことも聞いたこともなかった。ホントに驚きでした。
——しかも、スケートにしてもミュージカルにしても、おざなりの余興じゃなくて、ちゃんとお金払って観に行くようなプロのエンターテイメントでしたよね。
セイタ:ほかにも、ラウンジで毎晩ピアノをバックに素敵なジャズを聞かせてくれたり、コメディアンのライブがあったり、ヨガ教室があったり。
——映画館で『SEX AND THE CITY』の上映があったりね。本当はトークショーとかライブもいっぱいあったんですよね。ほかにセイタさんが驚いたことってありますか?
セイタ:やっぱり、船のデカさですかね。日本の有名リゾートホテルよりデカいんじゃないかな。映画やテレビ番組では見たことあったけど、3階吹き抜けのレストランがあったり、ショップが建ち並ぶプロムナードがあったり。本当にビックリでした。カジノはあるって知ってたけど、まさかダンスフロアが一夜にしてスケートリンクになるなんて。毎日が驚きの連続でした。正直、最後まで迷子になってました。
——確かに。行ってない場所とかもありますよね。映画館も行ってないし。とてもじゃないけど、全部回りきれない。
セイタ:それと、別な意味で驚いたのは、船の中を下着や水着姿で闊歩してるイケメンがゴロゴロいるってこと。ビックリですね。それでご飯を食べに行っちゃったりしてるし。正直、最初はドキドキしてましたけど、毎日そんな感じなので、慣れちゃった(笑)
——あれはビックリでしたね。みんな脱ぐことに抵抗なさすぎ(笑)。文化の違いなのか、クルーズだからこそなのか…。では、いちばん感動したことを教えてください。
コウ:7日間も船で生活してると、言葉は通じなくとも、徐々に顔見知りや友達ができて、最後のホワイト・パーティでは、たくさんの人に「一緒に写真を撮ろう!」と言われて…感動しました。あと、ロサンゼルスから日本に帰る飛行機が飛び立つとき、理由は説明できないんだけど、さまざまな感情があふれてきて…泣けました。
——わかります。僕もずっと余韻を引きずってて、思い出すたびに胸がキュンとなりました。「祭りのあとのさびしさ」みたいな、「ひと夏の恋」が終わったみたいな。
セイタ:船の人たちがみんな親切だったことも感動でした。「クルーズを楽しんでほしい」という気持ちがヒシヒシと伝わってきました。船専属のスタッフ(Royal Caribbean社の人)とゲイクルーズのスタッフ(Atlantis社とボランティアスタッフ)がいたと思いますが、ゲイの人たちもノンケの人たちも、すごくよくしてくれて。
——清掃のおばちゃんがいつも笑顔で「ハロー!」って言ってくれましたね。
セイタ:すごく元気がよくて明るくて。大好きでした。
——とんでもない格好で踊ったりご飯食べたりしてても、バーテンの人も、ウェイターの人も、少しも変な顔をしないし、気持ちよく接してくれて。
セイタ:トラブルがあった時にスタッフの人が全力で奔走してたのも知ってます。あと、最後の夜、イベントの終わりにゲイクルーズの社長さんとスタッフの人たちがみんなの前で挨拶したとき、英語もわからないのに、わけもなく涙が出てきちゃって…「素敵な旅の思い出をありがとう」っていうか、感謝の気持ちだけでは語りつくせない、熱いものがこみ上げてきました。
——本当にそうですね。今回のクルーズは、きっと人生観を変えるような体験だったのではないかと思います。ひとことで言うと、今回のクルーズはあなたにとって何でしたか?
コウ:「新しい人生のスタート」です。生きている間に、日本という小さな国だけはなく、もっと世界のことを知りたい、そして世界中に自分という存在を知ってもらいたいと思うようになりました。
——今回で要領はわかったと思うので、来年はぜひ、ステージでもっと目立ってくださいね! セイタさんはどうでしょう?
セイタ:「宝物」かな。素敵な経験である「思い出」の最上級に位置する、大切な宝物になりました。人との出会いも、経験も、すべてが宝物、という気持ちです。
——たぶん、クルーズを経験した人は、心の中にキラキラした宝物を持てますよね。どんなにつらいことがあっても、その宝物さえあれば生きていける、みたいな。そして「あのクルーズにまた乗りたい」っていう気持ちでがんばっていけると思うんです。言い換えると「希望」なんですよね。では、参加する前と後で自分自身が変わったと思うことはありますか?
コウ:単純に言えば、英語力と筋トレを強化したいと思うようになりました。
セイタ:僕もそうですね。一番変わったのは、受身じゃいけないと思うようになったこと。海外旅行は何度も行ってるし、今までは何とかなってたけど、今回のように特殊な環境で過ごしたことがなかったので…。
——セイタさんは40代にして初めてクラブでパンツ一丁で踊るという体験もして。
セイタ:清水の舞台から飛び降りる気持ちでした(笑)。それだけじゃなくていろいろね。勇気を出して飛び込んでいけば何とかなる、受け入れてもらえるんだと実感しましたよ。それを教えてくれたのは、コウくんでした。本当に感謝してます。
コウ:いえ、そんな…セイタさん、素敵でした。輝いてましたよ。
——僕も正直、アジア人だし、ブサイクだし、あまり相手にされなくて肩身のせまい思いをするかなって思ってたんです…今までの海外経験から言っても。でも、クルーズは全然違う。意外とみんな笑顔で応えてくれるし、逆に向こうから話しかけてくれることもたくさんあって。「ダメだと思ってるからダメなんだ。ちょっと勇気を出して行動すれば、たいがいのことは何とかなる、開けていくんだ」って思えたことが、僕自身、いちばん変わったことでした。ある意味、「人生観が変わった」と言ってもいいかも。2人はまた来年、参加したいと思いますか?
セイタ:絶対参加します。できたら来年のクルーズに参加しようと思います。周りの人たちもバンバン誘いたいです。
コウ:そう思います。次はもっともっと楽しみたい! もっと英語を勉強して、もっと体を鍛えて、もっと積極的になって、もっといろんな格好をして、もっと寄港地のことを下調べして楽しみたい。次回へ向けての目標がたくさんできました。自分が楽しもうと思えばどこまでも楽しめるステージが、そこにはありました。そして、もっと多くの日本人にも参加してもらいたい!って思います。
——ホントそうですね。ほかに何か「これはぜひ言いたい」「みんなに伝えたい」ということがあれば。
コウ:英語がわからなくても、体ができていなくても、十分すぎるほど楽しめた旅行でした。恐れることはありません、まずは乗ってみましょう!と言いたいです。
セイタ:実は、死ぬまでに経験したい旅のベスト3にクルーズが入っていたのですが、期待以上の体験でした。金額的には、手が届かないものではありません。ヘタに個人旅行で1週間海外に行くくらいなら、これからはクルーズにしようと思うくらいです。確かに10日もお休みを取るのは難しいかもしれませんが、そこを何とかクリアできたら、ぜひ参加してください!って思います。
——本当にこれだけはみんなに体験してほしいと願いつつ、これで終了したいと思います。ありがとうございました!
INDEX
- 『超多様性トークショー!なれそめ』に出演した西村宏堂さん&フアンさんへのインタビュー
- 多摩地域検査・相談室の方にお話を聞きました
- 『老ナルキソス』『変わるまで、生きる』を監督した東海林毅さんに、映画に込めた思いやセクシュアリティのことなどをお聞きしました
- HIV、梅毒、コロナ、サル痘…いま、僕らが検査を受けるべき理由:東京都新宿東口検査・相談室城所室長へのインタビュー
- NYでモデルとして活躍する柳喬之さんへのインタビュー
- 虹色のトラックに込めたゲイとしての思い――世界的な書道家、Maaya Wakasugiさんへのインタビュー
- ぷれいす東京・生島さんへのインタビュー:「COVID-19サバイバーズ・グループ東京」について
- 二丁目で香港ワッフルのお店を営むJeffさんへのインタビュー
- 東京都新宿東口検査・相談室の城所室長へのインタビュー
- 俳優の水越友紀さんへのインタビュー
- 数々のLGBTイベントに出演し、賞賛を集めてきた島谷ひとみさんが今、ゲイの皆さんに贈る愛のメッセージ
- 今こそ私たちの歴史を記録・保存する時−−「LGBTQコミュニティ・アーカイブ」プロジェクト
- LGBT高齢者が共同生活できるシニアハウスの設置を目指す久保わたるさん
- 岩崎宏美さん出演のクラブパーティを開催するkeiZiroさんへのインタビュー
- 英国の「飛び込み王子」トム・デイリーについて、裏磐梯のゲストハウスのオーナー・GENTAさんにお話をお聞きしました
- ニューヨーク在住のフォトグラファー、KAZ SENJUさん
- ジョニー・ウィアーが来日!(映画『氷上の王、ジョン・カリー』公開記念トークイベント)
- 畠山健介さんへのインタビュー
- トークセッション「ダイアモンドは永遠に――日本におけるドラァグクイーン・パーティーの起源」
- RAINBOW FESTA!2018事務局長・桜井秀人さんへのインタビュー
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