REVIEW
レポート:グループ展 “Pink”@オオタファインアーツ
六本木のオオタファインアーツで開催されているグループ展 “Pink”をレポートいたします。ミン・ウォンや草間彌生さん、ブブ・ド・ラ・マドレーヌさんらの作品を観ることができます

これまでに何度となくクィア関連のアート展を開催してきた六本木のオオタファインアーツでグループ展 “Pink”が開催されています。西瓜姉妹として昨年六本木ヒルズアリーナに降臨し、観客を沸かせるなどCAMPなパフォーマンスも素敵なクィアのアーティスト、ミン・ウォンや、ダムタイプの『S/N』に出演し、今もゲイコミュニティのすぐ隣で発信しているブブ・ド・ラ・マドレーヌさん、ストーンウォール以前の1968年、世界で初めて同性結婚式を執り行なったという、クィア的にもレジェンドな草間彌生さんらの作品が展示されています。
今回のグループ展 “Pink”は、「女性性や可愛らしさと結びつけられてきた一方で、主体性、連帯、アイロニー、抵抗など、文化的・社会的文脈の中で多面的な意味を帯びてきた」ピンクという色を手がかりにした、「フェミニティとクィアネス、享受と葛藤、可愛さと抵抗、欲望と幻想といった幅広い視点が立ち上がる」ものになっています。
CAMPなビデオ・アートをいろいろ発表してきたミン・ウォン。今回は日本のピンク映画女優に扮して(そうきたか)男優とからんだりするダイレクトに刺激的な映像をピンクのベビードールを思わせるレースの布地というオブラートにくるんだ作品や、ピンクの照明で撮った写真を出品し、クィアネスとCAMPを独り占めしてました(ある意味うらやましいというかずるいというか、みんな一度はやってみたいと思いつつなかなかできないネタですよね。ちなみにおっぱいはフェイク=つけ乳です。森村さんとかも使ってらしたのでは?)。ゲイ的には、これを観るためだけでも足を運ぶ意味があると思います。

みんな大好き草間彌生さん。あまりピンクのイメージはないかもしれませんが、一時期はピンクの衣装やウィッグで登場した時期もあるそうです。今回は鏡や櫛なんかも入ったメイク道具箱がピンクの突起物で覆われた作品や、大きめの絵画、そしてピンクと黒で覆い尽くされた小型アンプの作品も展示されてました(ポップな音楽が鳴ってました)
ブブさんは今回、日本には桜色、桃色、朱鷺色など多彩な色名があるのに圧倒的に外来語の「ピンク」と呼ばれることに抱いたモヤモヤから、「朱鷺」を主題にした絵画を発表しました。¥ouada(ヨアダ)さんの涙を流すハムスターの作品の隣で、ブブさんが描いた朱鷺も涙を流しています(偶然でしょうが、何か因縁めいたものを感じました)
今年オオタファインアーツで開催された「CAMP」でブブさんとコラボしていた嶋田美子さんは、「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合(中ピ連)」をテーマに選び、ピンクが「抵抗の色」でもあることを思い出させました。
ほかにも、パステルピンクのテニスボール(チェン・ウェイ)、“女性的な”題材をとてもカラフルに、一方でmale gazeも想起させる観察者の視線で描いた絵画(マリア・ファーラ)など、さまざまな作品が展示されていました。珍しく奥の部屋も展示に使われていました。

グループ展 “Pink”
会期 : 12月9日(火)〜2026年1月24日(土)
会場 : オオタファインアーツ東京
開館時間:11:00-19:00
休館日:月曜、日曜、祝日、12月28日〜1月5日
出展作家:ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、マリア・ファーラ、半田真規、草間彌生、嶋田美子、チェン・ウェイ、ミン・ウォン、¥ouada(ヨアダ)
なお、六本木、恵比寿、渋谷(広尾の方)はそれぞれとても近く、恵比寿で東京都写真美術館「総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol.22グループ展」を観てから日比谷線で六本木に移動し、このグループ展 “Pink”@オオタファインアーツを楽しんだあと、渋谷行きのバスに乗って國學院大學博物館企画展「性別越境の歴史学-男/女でもあり、女/男でもなく-」に行く(渋谷駅でのバスの乗り換えもスムーズですし、青山学院中等部のバス停で降りて歩いて行くこともできます。近くの東四丁目のバス停からは恵比寿駅にも行けます)という感じで半日で回ることができます。この週末のお出かけやデートにいかがでしょうか?
INDEX
- 近未来の台北・西門を舞台にしたポップでクィアでヅカ風味なシェイクスピア:映画『ロザリンドとオーランドー』(レインボー・リール東京2022)
- 獄中という極限状況でのゲイの純愛を描いた映画『大いなる自由』(レインボー・リール東京2022)
- トランスジェンダーの歴史とその語られ方について再考を迫るドキュメンタリー映画『アグネスを語ること』(レインボー・リール東京2022)
- 「第三の性」「文化の盗用」そして…1秒たりとも目が離せない映画『フィンランディア』(レインボー・リール東京2022)
- バンドやってる男子高校生たちの胸キュン青春ドラマ『サブライム 初恋の歌』(レインボー・リール東京2022)
- 雄大な自然を背景に、世界と人間、生と死を繊細に描いた『遠地』(レインボー・リール東京2022)
- 父娘の葛藤を描きながらも後味さわやかな、美しくもドラマチックなロードムービー『海に向かうローラ』
- 「絶対に同性愛者と言われへん」時代を孤独に生きてきた大阪・西成の長谷さんの人生を追った感動のドキュメンタリー「93歳のゲイ~厳しい時代を生き抜いて~」
- アジア系ゲイが主役の素晴らしくゲイテイストなラブコメ映画『ファイアー・アイランド』
- ミュージシャンとしてもゲイとしても偉大だったジョージ・マイケルが生前最後に手がけたドキュメンタリー映画『ジョージ・マイケル:フリーダム <アンカット完全版>』
- プライド月間にふさわしい名作! 笑いあり感動ありのドラァグクイーン演劇『リプシンカ』
- ゲイクラブのシーンでまさかの号泣…ゲイのアフガニスタン難民を描いた映画『FLEE フリー』
- 男二人のロマンス“未満”を美味しく描いた田亀さんの読切グルメ漫画『魚と水』
- LGBTQの高校生のリアリティや喜びを描いた記念碑的な名作ドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』
- LGBTQユースの実体験をもとに野原くろさんが描き下した胸キュン青春漫画とリアルなエッセイ『トビタテ!LGBTQ+ 6人のハイスクール・ストーリー』
- 台湾での同性婚実現への道のりを詳細に総覧し、日本でも必ず実現できるはずと確信させてくれる唯一無二の名著『台湾同性婚法の誕生: アジアLGBTQ+燈台への歴程』
- 地下鉄で捨てられていた赤ちゃんを見つけ、家族として迎え入れることを決意したゲイカップルの実話を描いた絵本『ぼくらのサブウェイベイビー』
- 永易さんがLGBTQの様々なトピックを網羅的に綴った事典的な本『「LGBT」ヒストリー そうだったのか、現代日本の性的マイノリティー』
- Netflixで今月いっぱい観ることができる貴重なインドのゲイ映画:週末の数日間を描いたロマンチックな恋愛映画『ラ(ブ)』
- トランスジェンダーのリアルを描いた舞台『イッショウガイ』の記録映像が期間限定公開
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