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【同性パートナーシップ証明制度】東京都が2022年度内に導入へ 

2021年12月07日

 東京レインボープライド開催の発表があったのと同日、東京都がついに同性パートナーシップ証明制度導入を決めたというニュースが届きました。小池知事は7日の都議会で「都民の意向や当事者の思いを受けとめまして、同性パートナーシップ制度の来年度内の導入に向けまして、今年度、制度の基本的な考え方を示してまいります」と述べました。


 東京都は2018年、五輪に向けて、LGBTQ差別禁止を盛り込んだ『東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例』を制定したものの、ずっと同性パートナーシップ証明制度には消極的で(昨年3月の都議会総務委員会で都人権部長は、「婚姻関係のあり方そのものにかかわるものであり、広範な国民的議論が必要な課題」と繰り返し、消極的な姿勢だったそうです。ちなみに同年7月の都知事選では、小池都知事は唯一、同性パートナーシップ証明制度導入に賛成していませんでした)、同性カップルの都営住宅への入居も認められないままでした。
 こうした状況を受けて、今年1月31日、「東京都にパートナーシップを求める会」が立ち上げられ、同性パートナーシップ証明制度の早期実現を求める署名キャンペーンが始まりました。3月には同会が小池都知事に面会し、約1万8000筆の署名と要望書を手渡しました。
 5月には、東京都で同性パートナーシップ証明制度を導入している12市区が連携して「東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワーク」が結成され、都営住宅への入居や都立病院での家族としての扱いを求め、都に訴えていくと報じられました。
 6月2日、小池都知事は「都としての制度の検討を進める」と表明しました。

 そして12月7日、小池百合子東京都知事は開会中の都議会本会議で同性パートナーシップ証明制度を2022年度内に導入する考えを明らかにしました。制度の基本的な考え方を今年度中に示すそうです。
 小池知事は、性的マイノリティ支援団体へのヒアリングや都内在住者を中心としたアンケートで、制度導入が必要との意見が多かったと説明し、「生活上の困りごとの軽減につなげ、多様な性に関する都民の理解を促進する」としたうえで「多くの方々が利用できる制度となるよう検討していく」と述べました。
  
 SNS上では「ついに…」「山が動いた」など驚きや喜びを表明するコメントや、これまで都への働きかけを行なってきた方々への賞賛や労いのコメントが上がっています。
 
 現在、都道府県として同性パートナーシップ証明制度を導入しているのは、茨城県、群馬県、大阪府、佐賀県、三重県の5府県で、この10月以降、静岡県福岡県青森県富山県秋田県でも続々と導入の意向が示されています。これら5県や、船橋市、鹿児島市、函館市などすでに導入を予定している自治体、さらに2022年度内に東京都で制度が導入されたあかつきには、人口カバー率も一気に上がり、6割近くなりそうです(いよいよ国も、この状況を無視できなくなるのでは…とも期待されます)
  
 なお、東京都でこれまで制度を導入した自治体を見渡すと、その制度の内容はとても多様で、渋谷区は条例で定めた公正証書の提出を必要とする制度、港区は、区が提供する標準様式をもとに契約書を準備したのち、公証役場で契約書(公正証書)を作成してもらうか、契約書(私製)の私文書認証を受けて、これを戸籍関連書類・本人確認書類と一緒に提出するという制度、中野区は「パートナーシップ宣誓」のほか、二人が作成した公正証書を提出すると区が承認してくれるというオプションがある制度、世田谷区などは要綱で定めた宣誓方式、というふうになっています。そのため、都の制度設計にあたっては、「東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワーク」との連携が必要になると考えられます(もし都が「パートナーシップ宣誓」型の制度を導入するのであれば、公正証書を必須とする渋谷区と制度の相互利用を可能にするのかどうか、どのように整合性をとるのか、調整していく必要があるでしょう)
 
 
 
 一方、同性パートナーシップ証明制度導入が実現しても万事解決ではなく、東京都の同性パートナーを持つ職員に関する待遇の平等化という課題は残っています。
 2019年、同性パートナーを持つ都職員の方たちが都職員に対する各種福利厚生制度について婚姻関係(事実婚含む)にある職員と同等に認めるよう改善を求めましたが、昨年7月、この要求が却下され、批判の声が上がり、9月の都議会で小池都知事がパートナーが同性である都職員にも慶弔休暇や介護休暇などを適用するよう「検討を進める」と回答したものの、11月の都議会で提出された介護休暇に関する条例改正案では介護対象者の範囲の拡大を「同性パートナー」ではなく「同一の世帯に属する者」(ほぼ「同居人」と同義)とする内容で、昨年12月、同性パートナーを持つ都職員の方たちが涙ながらに抗議していました(詳細はこちら
 引き続き、都職員の方たちの都への働きかけや活動を見守り、支援していきましょう。
 
 
参考記事:
都「同性パートナーシップ」来年度導入へ(日テレ)
https://www.news24.jp/articles/2021/06/02/07882799.html
東京都、同性パートナー制導入へ 22年度内に、小池知事表明(共同通信)
https://nordot.app/840911614727651328
東京都が「同性パートナーシップ制度」導入へ…知事「全ての都民を個人として尊重」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211207-OYT1T50193/

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