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特集:2022年9月の映画・ドラマ

2022年9月に上映、放送、配信される映画やドラマの情報をまとめてお届けします。今月は、大阪・京都で関西クィア映画祭が、札幌でLGBTQ映画祭が開催されます。 

特集:2022年9月の映画・ドラマ

(『世界は僕らに気づかない』@関西クィア映画祭より)

 めっきり涼しくなって、すっかり秋の気配ですね。芸術の秋、週末の日中は映画館や劇場アート展にお出かけしたいところです(デートにも最適ですね)。というわけで、この9月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えいたします。
 今月は、大阪・京都で関西クィア映画祭が、札幌でLGBTQ映画祭が開催されます。
 ちなみに9月1日はファーストデイ。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。家族のホモフォビアゆえに苦悩しながらも家族愛を捨てられないゲイの男の子の「旅」を描いた映画『C.R.A.Z.Y.』はこの日まで。また、実在のゲイの生き様・心意気へのオマージュであり、コミュニティへの愛と感謝が込められた感動作『スワンソング』もまだまだ上映中です。
(最終更新日:2022年9月15日)

 
9月2日~8日 大阪
9月23日〜25日 京都
関西クィア映画祭 

 東京の次に長い歴史を誇る関西クィア映画祭。大阪と京都の2会場で開催されることや、トランスジェンダーやクィアの作品が多いのが特徴です。今年は14ヵ国から集められた計28作品もの映画が上映されます。今年はノンバイナリーをテーマとしたミニ特集も組まれるほか(ノンバイナリーの作品はとても少ないので、非常に貴重です)、国内作品コンペティションなども行なわれます。 
 
関西クィア映画祭 
◎大阪
日程:9月2日(金)〜9月8日(木)
会場:シネマート心斎橋
◎京都
日程:9月23日(金祝)〜25日(日) ※9月24日(土)はオールナイト上映あり
会場:ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川

<上映作品>
◎ノンバイナリー・ミニ特集
 昨年、宇多田ヒカルさんが名乗ったことで人口に膾炙した感のあるノンバイナリー(日本では「Xジェンダー」とも)ですが、ひとくちにノンバイナリーと言っても、身体への医療的措置を望むかどうか、どのような服を着るか、自称は何か、代名詞は何がいいかなど、人によってありようは様々です。今回のミニ特集は、そんなノンバイナリー(Xジェンダー)の方たちのリアリティに触れられるような企画として組まれました。以下の2作品が上映されます。

ここにある美しさ
 米ニューヨーク州の小さな町に住む、ノンバイナリー、トランスジェンダーを自認するミレニアル世代の9人が、自身のジェンダーのあり方と自分らしい生き方を飾らない言葉で語ります。わかりやすくカテゴライズし、単純化したがる社会に対して、ノンバイナリーと自認していても各々の性のあり方や体との向き合い方、髪型や服を通して自分を表現する方法も、そして興味関心も全く違うということを、一人ひとりの語りを通して今一度気づかせてくれる短編作品です。 
『ここにある美しさ』
2021年/米国/17分/監督:Leah Waring Byck
大阪会場9月8日(木)19:30-、京都会場9月23日(金祝)14:55-


アンバー、いつまでも
 「友達と無人島にいたら、そこには規範も何もない」と話すアンバーは、ストックホルムで暮らす17歳のノンバイナリー。こんなに早く自身のジェンダーに気づくことができたのは、先にカムアウトした親友のセバスチャンのおかげ。でも、あることが理由で疎遠になってしまい、どうやって折り合いをつけようかと悩みます。アンバーは人間関係が揺れ動くにつれ、頭をバリカンで剃ったり、ウィッグを被ったり、ブリーチしたり、染めたり、髪型や髪色、メイクも自由に変えていきます。「私の見た目は私が決める」という規範に抗う意志を表しているかのようです。若者の青春の3年間を切り取ったドキュメンタリーです。
『アンバー、いつまでも』
2020年/スウェーデン/74分/監督:Lia Hietala、Hannah Reinikainen
大阪会場9月8日(木)19:30-、京都会場9月23日(金祝)14:55-、京都会場オールナイト9月24日(土)23:00-


◎日本作品
 今年は日本作品を長編短編あわせて8作品上映します(これとは別に、コンペに参加する日本作品も別途上映されます)

世界は僕らに気づかない
 国内外の映画祭で受賞経験のある飯塚花笑監督(トランスジェンダーの方です)による、名作『フタリノセカイ』に続く最新作は、監督が自身の体験に基づいて書いたオリジナル脚本を、2021年に大ヒットした映画『東京リベンジャーズ』に出演した堀家一希主演で映画化した作品です。
 群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親を持ち、父親のことは何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親とのつなが利です。純悟には恋人の優助がいますが、優助から同性パートナーシップ証明の登録を望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めずにいます。そんなある日、母親が再婚したいと、新しい恋人を家に連れて来て、見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がる純悟は、実の父親を探すことに…というストーリーです。
『世界は僕らに気づかない』
2022年/日本/112分/監督:飯塚花笑
大阪会場9月3日(土)19:05-、京都会場9月23日(金祝)17:35-、京都会場オールナイト9月24日(土)23:00-


愛達
 フィリピンパブ嬢の母をもつ勝也は、そこで黒服として働く黒田に恋をしていた。ゲイであることと、敬虔なクリスチャンの母から受け継いだ信仰とが激しくぶつかり合い、勝也は必死にもがき続けている。母のくれた「神さま」を捨てきれぬまま、一体自分はどこに辿り着くべきなのだろう。
 母親がフィリピン人、父親が日本人のハーフである稲津勝友監督(1999年生まれ)が、自身の経験をもとに作ったた作品です。パブ嬢の母の役は稲津監督の実の母親が、主役の勝也は稲津監督自身が演じています。
 2019年に関西クィア映画祭で初めて開催された「国内作品コンペティション」部門で最優秀観客賞を受賞しています。今回は京都会場で『世界は僕らに気づかない』との同時上映となります。
『愛達』
2019年/日本/18分/監督:稲津勝友
京都会場9月23日(金祝)17:35-

 
ジンジャーミルク
 健斗は淳が好き。淳は玲衣が好き。でも玲衣はあすかとキスしてる。そして、あすかは健斗が好き!? この四角関係、一体どうなる!? 『虹色の朝が来るまで』の今井ミカ監督の最新作です。四角関係を描いたエンターテイメント作というだけでなく、ゲイを描いた作品というだけでもなく、ろう者というマイノリティと聴者の関係性を絶妙に描いているそうです。
「「自分はゲイかも」と玲衣は友人の健斗にカミングアウトされる。2020年4月コロナ禍で緊急事態宣言が発令され、生活の変化を強いられながらも、大学生活を送るろう者と聴者の4人の姿を描く作品。彼らの甘くて辛い想いが交差した複雑な四角関係を綴るヒューマンドラマ」(監督による作品紹介)
『ジンジャーミルク』
2021年/日本/60分/監督:今井ミカ
大阪会場9月3日(土)17:20-、京都会場9月24日(土)21:20-、9月25日(日)12:45-


夫=夫
 ゲイカップルの若い頃のなにげない日常のいとしさと、長年連れ添ってパートナーを葬った後のことが交互に映し出され、ゲイのパートナーシップのかけがえのなさが表現され、共感を呼ぶような短編です。オープンリー・ゲイの山後勝英監督の作品で、今年レインボーマリッジフィルムフェスティバルで上映されています。関西クィア映画祭では京都会場オールナイト上映と、京都会場『ジンジャーミルク』上映の際の同時上映でご覧いただけます。
『夫=夫』
2021年/日本/16分/監督:山後勝英
京都会場オールナイト9月24日(土)23:00-、京都会場9/25(日)12:45-


片袖の魚
 日本で初めて、公募で選ばれたトランス女性がトランス女性の役を演じた記念碑的な映画『片袖の魚』。自分を不完全な存在だと思い込み、自信を持てないまま社会生活を送るひとりのトランス女性が、新たな一歩を踏み出そうとする――そんなささやかな瞬間の物語を、文月悠光さんの詩を原案として、国内外の映画祭で高い評価を得ている東海林毅監督が映画。主演はモデルとして活躍するイシヅカユウさんです。
 2021年から上映が始まり、たいへんな評判を呼び、全国各地を巡回していますが、今回、関西クィア映画祭でも上映されることになりました。まだご覧になっていない方はこの機会にぜひ!
『片袖の魚』
2021年/日本/34分/監督:東海林毅
大阪会場9月2日(金)19:45-、京都会場9月24日(土)19:00-



◎海外長編
 今年の海外長編作品は6作品。関西クィア映画祭でしか観られない作品もあります。

未来は私たちのもの
 ドイツに暮らし、イランからの移民1世を親にもつミレニアル世代のパーヴィスはゲイで、自分が何者であるかということに悩み、どこか満たされない毎日を送っていた。社会奉仕活動でしぶしぶ通い始めた難民収容施設で、イラン出身の、勝気で負けず嫌いで性別に基づく規範に全身で抗う力強いバナと、「自分」であることだけでも大変だと抱え込む内向的なアモンのきょうだいと出会い、平凡な生活に大きな変化がもたらされる。「難民申請中のバナとアモン」そして「30年前に移住したパーヴィスの家族」という、ドイツの2つのイラン人コミュニティが出会い、物語が展開する。
 『セーラームーン』が好きだという、イラン系移民のファラズ・シャリアット監督による作品。ドイツのクィアシーンだけでなく、今のドイツ社会が抱える様々な社会的課題が複合的に描かれています。昨年の関西クィア映画祭で上映され、大好評を得た作品の再上映です。お見逃しなく!
『未来は私たちのもの』
2020年/ドイツ/93分/監督:ファラズ・シャリアット
京都会場9月23日(金祝)10:25-


ノー・オーディナリー・マン
 死後にトランス男性だったことがわかり、センセーショナルに取り上げられたジャズミュージシャン、ビリー・ティプトンのことを、今を生きるトランス男性たちが振り返り、その人生を再構築していくドキュメンタリー映画です。ビリーの息子であり「ビリーを知る最後の人物」であるビリーJr.の元をトランス男性の方が訪ね、「ビリー・ティプトンのおかげで救われた当事者がたくさんいる」と伝えられ、「父のことをそんなふうに称えてくれてとてもうれしい」と語るシーンが感動的でした(レビューはこちら)。カナダのLGBTQ映画祭「Inside Out Film and Video Festival」でベスト・カナダ映画賞に輝いています。
『ノー・オーディナリー・マン』
2020年/カナダ/83分/監督:アシュリン・チンイー、チェイス・ジョイント
大阪会場9月6日(火)19:30-、京都会場9月25日(日)14:40-


アグネスを語ること
 『ノー・オーディナリー・マン』のチェイス・ジョイント監督の短編『アグネス〜過去から今へ〜』を長編化した作品で、50年以上前のトランスジェンダーへのインタビューの記録に基づいた、ドラマ仕立てな部分もあるドキュメンタリー映画です。自身もトランス女性である歴史研究者のJules Gill-Petersonが、米国で初めて性別適合手術を受けたクリスティン・ジョーゲンセンは(白人のトランス女性として)スター的な扱いを受けたのに、ジョージアという黒人のトランス女性はひどい扱いを受けたと指摘し、社会的マイノリティの当事者がメディアに出ることのアンビバレントさを鋭く追及するコメントを発していて、唸らせるものがありました。非常に複雑なテーマを内包する作品です(レビューはこちら)。サンダンス映画祭で観客賞と「the Innovator Prize in the NEXT program」という賞を受賞しています。
『アグネスを語ること』
2022年/カナダ・米国/75分/監督:チェイス・ジョイント 
大阪会場9月7日(水)19:30-、京都会場9月23日(金祝)12:45-


◎海外短編
 7作品100分の短編作品を一気にみれるお得なプログラムです。京都会場で9月24日(土)16:40-に上映されます。ここではHIVに関する1作品をご紹介。

秘密の授業
 新人の高校教師が、クラスの親睦を深めようと、匿名で秘密を共有しあうという授業を思いつく。しかし、一人の生徒が「私はHIV陽性です」とカムアウトしたことで、クラスがパニックに…。陽性者探しが始まり、オネエのあいつだ!いや、ガイジンの彼女がいるこいつだ!いやいや、尻軽女のあいつだ!と、SNSを通してどんどん事態がエスカレートしていく。たった16分という短い尺の中で様々なテーマについて考えさせられる、重層的な作品だそうです。
秘密の授業
2021年/シンガポール/16分/監督:Jen Nee Lim



◎国内作品コンペティション
 応募総数33作品の中から選ばれた5作品が上映され、会場のみなさんの投票で最優秀観客賞が決まります。大阪では上映&投票が、京都では上映&投票に加えて監督のトークやQ&Aもあります。大阪会場では9月4日(日)17:40-、京都会場では9月24日(土)12:45-に上映されます。

神谷、ゲイらしいよ?
 人気タレント・神谷泰斗の”ゲイ疑惑”報道。失踪した神谷本人。心配した交際相手の溝口が探し回るも、世間は、心ない言葉で笑い合う。親しい人のこともネットで確認しあう時代に生きる私たちを淡々と描く群像劇。
『神谷、ゲイらしいよ?』
2022年/日本/7分/監督:濱本真優


いつかのいま。
 生後1週間で、同性夫夫・山田と佐藤のもとにやってきた「いつか」の目に映る世界。子の反応や成長に喜んだり、時には落ち込んだり悩んだり、初めての子育てに奮闘するふたりがつづる、大変だけど幸せな日々の記録。
『いつかのいま。』
2022年/日本/26分/監督:山田瑛瑠






9月2日 東京
アナザー・カントリー HDニューマスター版

 『モーリス』と並ぶ英国寄宿舎イケメン学生たちの耽美系ゲイ映画の金字塔である『アナザー・カントリー』。ルパート・エヴェレットとコリン・ファース(映画デビュー)が主演というのも、アナカンの伝説化した理由の一つでしょう。これまで何度となく再上映されてきましたが、今回は、特集企画「12ヶ月のシネマリレー」にてHDニューマスター版で公開されます。入場者プレゼント付き上映、公開記念トークイベントなどの企画も用意されています。

<あらすじ>
1930年代、英国。将来のエリートを育成することを目的とした良家の子息のみが集う名門パブリックスクール「ガスコイン・ハウス」で、ガイ・ベネットは親友のトミー・ジャッドと共に伝統と規律を重んじる堅苦しい寄宿制の寮生活を送っていた。ある日、学内で寮生の一人の遺体が発見される。彼は禁忌とされている同性愛の現場を寮監の教師に見つかってしまったことを苦に自殺を図ったのだった。寮長・バークレイは自らの力不足を思い悩み、次期寮長候補のメンジース、選ばれし特権階級生『トゥエンティトゥー』のメンバー・デラヘイたちは事件を収束させるべく動く。事件を機に寮生たちが様々な思いをめぐらせていくなか、ベネットは監督生たちからさらなる反感を買う出来事を起こしてしまう・・・。

アナザー・カントリー
1984年/英国/90分/G/監督:マレク・カニエフスカ/出演:ルパート・エヴェレット、コリン・ファースほか
ヒューマントラストシネマ渋谷にて9月2日(金)公開
【入場者プレゼント付き上映】
日時:9/2(金)、9/9(金)10:00の回(90分)
ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター3(60席)
特典:オリジナルポストカード2種
【公開記念トークイベント&入場者プレゼント付き上映】
日時:9/13(火)18:45の回(90分)
ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター1(200席)
ゲスト:児玉美月さん(映画執筆家)、桜庭一樹さん(小説家)
特典:オリジナルポストカード2種




9月3日よりオンライン販売
幸運の犬

 ちくわフィルムの新作映画『幸運の犬』。ヒゲポン&TENさんが主演。メインのロケ地は浅草のゲイバー「おれん家」。8月に上映イベントが開催されましたが、好評につき、9/3(土)よりマイファンズにて販売されます。
 
幸運の犬
2022年/日本/監督:まちょ/出演:TEN、HIGEPON、雄太、千葉優人、masa、しゅん、大吉




9月7日より配信
チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー

 ロシア南部、北カフカス地方にあってジョージアと国境を接する小さな国・チェチェン共和国で、ゲイが組織的に拉致され、収容所で拷問を受け、殺されているという信じられないニュースが世界を震撼させたのは2017年春のことでした(こちらの記事をご覧ください)。自身もゲイであるデヴィッド・フランス監督(『マーシャ・P・ジョンソンの生と死』)はいてもたってもいれず、ロシアに飛び、ゲリラ的な撮影によってチェチェンの同性愛者迫害の実態に迫るドキュメンタリーを製作し、世界に向けて公開しました。奇しくも、この映画『チェチェンへようこそ ―ゲイの粛清―』の日本での公開は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まった直後のタイミングとなりました。
 チェチェンで迫害に遭っている同性愛者の救出に立ち上がった活動家たちの姿に胸が熱くなるとともに、フェイスダブル(ディープフェイク)という最新の技術を使い、被害者たちの匿名性を守りながら生き生きとした表情を見せるという映像的な面も光る、本当に素晴らしい作品です。米アカデミー賞ショートリスト選出、英国アカデミー賞(BAFTA賞)、サンダンス映画祭(編集賞)を受賞、有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で驚異の100%の評価を得ています。
 このたび、世界中の知られざるドキュメンタリーを日本国内の映画ファンにお届けする「MadeGood Films Ltd.」の配給によって、この映画『チェチェンへようこそーゲイの粛清ー』が同社公式サイトやAmazon、U-NEXT等にて動画配信されました。まだご覧になっていない方はこの機会にぜひご覧ください。

チェチェンへようこそーゲイの粛清ー
2020年/アメリカ/107分/監督:ディヴィッド・フランス
MadeGood Films公式サイトAmazon Prime VideoU-NEXTHuluストア、その他、dTV、Rakuten TV、クランクイン!ビデオ、apple TV(iTunes Store)、YouTube、Google Play、J:COMオンデマンド、ひかりTV、VIDEX.jp、MOVIE Full+で配信中




9月8日より放送
チェイサーゲーム

 テレビ東京の木ドラ『チェイサーゲーム』に、トランス男性俳優の若林佑真さんが出演、渡邊凛というトランス男性の役を演じます。
「3話では、まさにトランスジェンダーの話がテーマになっており、自分の経験を思い出しながら、苦しくも楽しく演じさせていただきました。トランスジェンダー男性がドラマなどの作品に登場すること、ましてや、当事者が当事者の役を演じるということは日本では中々ないので、プレッシャーを感じながらも、ご覧くださった方々に、何か感じ取っていただけるものがあれば嬉しいなと思っております」(若林さんコメント)

チェイサーゲーム
テレ東
毎週木曜深夜0:30-1:00
9月8日より放送スタート




9月9日より公開 
エンジェル

 昼間は成績優秀な高校生、夜は娼婦という二つの顔を持つ少女・エンジェルを通して、社会からはみ出した人々を見つめる作品。エンジェルのアパートの大家さんがダイクなレズビアンで、彼女の保護者のようになっているのが中年のドラァグクイーンなんだそう。1984年サンフランシスコ国際レズビアン&ゲイ映画祭最優秀作品観客賞を受賞しています。そんな映画『エンジェル』が38年ぶりに劇場公開されます(7月に新宿シネマカリテの「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2022」で特別上映されていて、おそらくその際に好評を博したのでしょう、9月9日に新宿シネマカリテで劇場公開が決まったものです)
 
<あらすじ>
昼間は全科目Aの成績優秀な女子高生、夜は街角の娼婦という二つの顔を持つエンジェル。ある日、娼婦を狙った変質者による連続殺人事件が発生、エンジェルの仲間も餌食となった。一瞬犯人を目撃したエンジェルは警察に協力するも、彼女に魔の手が迫る……。

エンジェル
原題:ANGEL
1983年/アメリカ/93分/G/監督:ロバート・ヴィンセント・オニール/出演:ドナ・ウィルクス、クリフ・ゴーマン、ディック・ショーン、ロリー・カルフーン、スーザン・ティレル
9月9日より新宿シネマカリテで公開、以降、全国で順次公開




9月11日 札幌
札幌LGBTQ映画祭2022

 北海道、札幌にLGBTQ ALLYの輪を広げたい!との願いで結成されたなるべさ!ALLYさっぽろというボランティアのアライチームが企画した映画祭です。9人のLGBTQの姿を追ったドキュメンタリー『であること』、宮沢氷魚さんがゲイ役で主演した『his』、『カランコエの花』が上映され、YouTuberのかずえちゃんと地元の当事者の方たちによるトークショーも行なわれます。この映画祭は、現在札幌で行なわれている「結婚の自由をすべての人に」訴訟と、元道職員SOGIハラ訴訟を応援しているそうです。
 
札幌LGBTQ映画祭2022
日時:2022年9月11日(日) 
会場:サツゲキ(札幌市中央区南2条西5丁目6-1 狸小路5丁目内)
主催:なるべさ!ALLY
後援(順不同・敬称略):札幌市、さっぽろレインボープライド、公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に、元道職員SOGIハラ訴訟 原告 佐々木カヲル(社会福祉士)、元道職員SOGIハラ訴訟弁護団、(株)ブラッシュ・アップ、瀟洒珈房 月織堂、かず部屋
チケットはこちら




9月14日より配信 
『POSE』シーズン1〜3

 NYのボールルームカルチャーと、そこに生きる有色人種のクィアたちの苦難や栄光、悲しみと喜び、汚辱と誇り、生と死をオール当事者キャスト(たぶん100人くらいのゲイやトランスジェンダーが出演しています)で描いた、歴史的にして記念碑的な不朽の名作『POSE』。最新にしてファイナルのシーズン3が今年7月末からFOXで放送され、先日、最終話の放送が終わりましたが、そのシーズン3も含めてディズニープラスで『POSE』全シーズンが一気に配信されました。シーズン3のサブスク配信開始を心待ちにしていた方、まだ『POSE』を観ていないという方なども、ぜひご覧ください。

【レビュー】
『POSE』シーズン1
『POSE』シーズン2
『POSE』シーズン3

『POSE』シーズン1〜3 ディズニープラスで配信スタート
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/pose/1ARtTsGv1oCS





9月20日より 配信

Why Women Kill ~ファビュラスな女たち~
 
 大ヒットドラマ『デスパレートな妻たち』のマーク・チェリーが手がけるブラック・ユーモアあふれるサスペンス・コメディドラマで、あのルーシー・リューが主演女優の一人であること、LGBTQがからんでいるところも見所かと思われます。3つの時代を生きる女性たちの悩み・苦しみと復讐劇を同時進行で描く作品です。「主人公たちを取り巻く人間たちの欲望と欲望が複雑に絡み合い、予想できない嵐のような展開が訪れる」とのことです。

<あらすじ>
異なる時代、同じ大邸宅で暮らす3人の女性たちが夫殺害を実行するまでを描く――
1963年。娘を亡くし、心の傷がなかなか癒えない専業主婦のベス・アン(ジニファー・グッドウィン)。エリート技術者で亭主関白の夫ロブが複数の女性と不倫していたことを知り、打ちのめされる。
1984年。社交界の名士シモーヌ(ルーシー・リュー)は、夫カールが同性愛者であることを隠して自分と結婚したことを知る。
2019年。バイセクシャルの弁護士テイラー(カービー・ハウエル=バプティスト)は、脚本家イーライとオープンマリッジをしていた。テイラーは愛人のジェイドをイーライに紹介するが、イーライとジェイドが急接近する。
 
Huluプレミア『Why Women Kill ~ファビュラスな女たち~』シーズン1(字・吹)
Huluで9月20日から全話一挙独占配信スタート





9月22日 東京
ソドムの市

「詩人、小説家、脚本家、評論家、俳優、活動家、多くの顔を持ち、映像表現の最先端を、人間の深淵を、激しく、そして純粋に追及し続け、センセーショナルな話題にまみれた比類なきイタリアの知と行動の人ピエル・パオロ・パゾリーニ(1922-1975)。生誕100年を迎えた本年、その軌跡を未体験世代に!」ということで、今年のぴあフィルムフェスティバルでパゾリーニ特集が組まれます。パゾリーニ自身はゲイでしたが、その作品のほとんどはゲイを描いたものではなく、以前ご紹介した『テオレマ』と、マルキ・ド・サド『ソドム百二十日~』を映画化した『ソドムの市』くらいじゃないかと思います。
 パゾリーニの遺作である『ソドムの市』は、映画史上最大のスキャンダルであり、あまりに過激なため各国で上映禁止になった問題作です。ダンテ『神曲』の構成を借りて「地獄の門」「変態地獄」「糞尿地獄」「血の地獄」の4つの章から成り、4人の残虐な独裁者が登場しますが、4人ともが同性愛者で、監禁した美少年・美少女たちに「男女のノーマルなセックスをした者は片足を切る」などと宣告するのです(ゲイが支配する世界を見せることで逆説的に、異性愛の強制が同性愛者にとってどれだけ理不尽で地獄のようなことかを世の人々に思い知らせているように思えます)。人糞を食べさせるシーンや、ドSとかいうレベルじゃない残虐なシーンがあるので、決しておすすめしませんが、もし「大丈夫。ぜひ観てみたい」という方は、この機会にご覧ください。なお、パゾリーニはこの映画が完成した後、上映を見ることなく、謎の悲惨な死を遂げています(ファシストに暗殺されたのではないかとも言われています)
 
<あらすじ>
イタリアが連合国に降伏した後、残余のファシストたちは北部の町サロに集まり、亡命政権を形成していた。このナチス傀儡政権の権力者たち、大統領・大司教・最高判事・公爵の4人は、自分たちの快楽のために条例を新しく制定し、その規則に従って美少年・美少女が狩り集められ、さらにその中から厳選された男女各9人が秘密の館に連れ去られる。権力者たちは、自分たちの定めた規則に従って、あらゆる淫蕩・変態行為に耽っていく…。

ソドムの市
1975年/イタリア・フランス/118分/監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
ぴあフィルムフェスティバル「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」の一環で9月22日(木)18:30-、国立映画アーカイブにて上映(詳細はこちら

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