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特集:2023年3月公開・配信の映画・ドラマ

2023年3月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をお伝え。今月はアカデミー賞の大本命となっている話題作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に注目!です。

特集:2023年3月公開・配信の映画・ドラマ

(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』より)

 梅の花も咲き始め、春はもうすぐそこ…気持ちもはずみ、お出かけしたくなる季節です。今月はアカデミー賞の大本命となっているクィアSFアクション映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に注目!です。2023年3月に上映・放送・配信される映画やドラマの情報をまとめてお伝えいたします。
 ちなみに3月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。都内では『エゴイスト』『二十歳の息子』『すべてうまくいきますように』『ベネデッタ』などもまだ上映されています(これらの映画の情報については2月の特集をご覧ください)
 映画だけじゃ物足りないという方は、ぜひお芝居やミュージカルアート展などにもお出かけくださいね。
(最終更新日:2023年3月17日)



3月3日より上映 
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

 『ロブスター』『ムーンライト』『レディ・バード』『ザ・ホエール』などのクィア映画も手がけてきた、クオリティの高い映画製作に定評のある米国の配給会社「A24」の最大のヒット作で、今年のアカデミー賞の最多ノミネートとなり、アカデミー賞の前哨戦「米映画俳優組合員賞(SAG賞)」でも最高賞などを受賞して席巻、オスカーも間違いなしと見られ、今最も話題を集める作品『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(略称:エブエブ)。日本ではアジア系女性が主人公であることやマルチバースやアクションの部分だけがクローズアップされていますが、クィアSF映画であり、クィアアクション映画であり、2組のキュートな女性カップルが登場する作品です。多くのクィア作品の評を手がけてきた児玉美月さんは「確定申告からはじまり確定申告におわる、マルチバースでのひとりの女性の戦い。クィアの受容と可能性を奇想天外な物語に織り込んだクィア映画としても気高い。まさにいま・ここではない世界に、わたしたちを連れて行ってくれる」とコメントしています。

<あらすじ>
エヴリンは優柔不断な夫ウェイモンドと反抗期の娘、頑固な父と暮らしながら、破産寸前のコインランドリーを経営している。税金の確定申告の締切が迫るなか、エヴリンはウェイモンドに並行世界に連れて行かれる。そこでカンフーマスターさながらの能力に目覚めたエヴリンは、全人類の命運を懸けて巨大な悪と闘うべく立ち上がる。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
原題:Everything Everywhere All at Once
2022年/アメリカ/139分/G/監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート/出演:ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ステファニー・スー、ジェニー・スレイトほか




3月4日放送開始
自由な女神 ―バックステージ・イン・ニューヨークー

 オーツカヒロキさんの漫画『バックステージ・イン・ニューヨーク』を原作としたドラマ『自由な女神 ―バックステージ・イン・ニューヨークー』が東海テレビ・フジテレビ系全国ネットで放送されます。原作はニューヨークでの物語でしたが、ドラマでは舞台を東京に変更。幼くして母親を亡くし、父親と2人で暮らしながら地方の工務店に勤務し、洋服作りを趣味とするサチが、知らぬ者はいない伝説のドラァグクイーン、クールミントと出会ったことから物語が動き出します。わけありルームメイトのケン、幼なじみの篤志との恋模様やサチの成長物語が描かれる作品です。昼間はフリーのメイクアップアーティストとして働き、ショーを通して多くの悩める人の人生を変えてきたドラァグクイーン、クールミントこと成田透の役を武田真治さんが演じます。武田真治さんは「まさかドラァグクイーン役が割り当てられるとは思っていなかったので、ちょっと驚きました」「僕が演じるクールミントは、都会で生きる人にとっての「自由の象徴」みたいなキャラクターです。そのクールミントが、自分らしさを表現するのに必要な存在が「サチ」であり、彼女が作る服であったりします。サチはクールミントからあれこれ無茶ブリをされることでデザイナーとしても人としても、成長していきますし、クールミントもまたサチの力を借りて夢を体現していきます。絶妙に面白い間柄なんです」「実際に、ドラァグクイーン的な“夜の街の人たち”とも出会い仲良くさせていただき、その時の経験や学びが、今回の役を演じさせてもらえていることにつながっているのかな、とも思っています」とコメントしています。

<あらすじ>
暗く狭い世界で生きてきたOLのサチ。彼女が幼い頃から夢だったファッションの勉強をしにニューヨークへ降り立ち、現地でドラァグクイーンのポールと出会ったことから人生が一変。デザイナーとして認められたサチは、最大級のファッションフェスタ・東京ガールズコレクションにも招待されることになり……。

自由な女神 ―バックステージ・イン・ニューヨークー(全4話)
東海テレビ・フジテレビ系全国ネットで3月4日放送開始
毎週土曜日23:40~
出演:井桁弘恵、武田真治ほか
原作:『バックステージ・イン・ニューヨーク』(オーツカヒロキ/forcs刊)
企画:市野直親(東海テレビ)
脚本:櫻井智也、下田悠子
音楽:平本正宏
演出:池田千尋
プロデューサー:後藤勝利(東海テレビ)、齋藤寛朗(カズモ)
協力プロデューサー:松本圭右(東海テレビ)
制作:東海テレビ、カズモ




3月18日 オンライン
ジェンダー・マリアージュ

 神奈川県弁護士会が米国の同性婚裁判を追ったドキュメンタリー映画『ジェンダー・マリアージュ』を上映し、「LOUD」代表、中野区のパートナーシップ宣誓第1号であり「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告でもある大江千束さんによる「パートナシップ認定制度と同性婚裁判までの流れ」と題した講演会も行ないます。
 
<あらすじ>
同性婚が合法とされていた米カリフォルニア州で、2008年11月、結婚を男女間に限定する州憲法修正案「提案8号」が通過。同性婚が再び禁止されることになった。この「提案8号」を人権侵害であるとして州を提訴したのが2組の同性カップル。クリス&サンディとポール&ジェフ。米連邦最高裁判所で婚姻の平等が初めて争われるこの訴訟のもと、かつてブッシュ対ゴアの大統領選で敵同士だった2人の弁護士、テッド・オルソンとデヴィッド・ボイスも手を取り合う……。 

映画「ジェンダー・マリアージュ」オンライン上映会
講演「パートナシップ認定制度と同性婚裁判までの流れ」大江千束さん
日時:3月18日(土)13:00~映画上映開始、15:30~講演会
無料
300名様限定(先着順)
申込み:こちらの登録フォームからお申し込みください
共催:神奈川県弁護士会、日本弁護士連合会
後援:神奈川県




3月18日配信スタート
恋人はアンバー

 自分がゲイだとなかなか受け容れられない男子高校生の苦悩や、レズビアンとゲイの友情を描いた青春ラブコメ作品『恋人はアンバー』がWATCHAで独占配信開始。配信を記念して18日からプレゼントキャンペーンを実施するそうです。
【キャンペーン概要】
期間:2023年3月18日(土)18:00~3月31日(金)23:59
●Twitter
参加方法:1.「@watcha_jp」アカウントをフォロー 2.RT(※キャンペーン投稿をリポストやストーリーシェアすると当選確率UP!)
賞品:抽選で『恋人はアンバー』フライヤー&ポスター(5名様)とAmazonギフト券1,000円券(5名)をプレゼント
応募:https://twitter.com/watcha_jp
●Instagram
参加方法:1.「watcha_jp」アカウントをフォロー 2.キャンペーン投稿にいいねする(※キャンペーン投稿に引用で「#恋人はアンバーWATCHAで独占配信中」を書くと確率UP!)
賞品:抽選で『恋人はアンバー』フライヤー&ポスター(5名様)とAmazonギフト券1,000円券(4名)をプレゼント
応募:https://www.instagram.com/watcha_jp/

<あらすじ> 
1995年、アイルランドの田舎町。高校生のエディは父の後を継いで軍隊に入ることを望み、アンバーは自由な大都会ロンドンに引っ越すことを夢見ている。二人の共通点は同性愛者だということ。周囲にセクシュアリティを悟られないようカップルを演じることにしたエディとアンバーだが、やがて二人の“理想的”な関係は崩れはじめ…。

恋人はアンバー
原題:Dating Amber 
2020年/アイルランド/92分/監督:デヴィッド・フライン 
「EUフィルムデイズ」の一環として、6月2日(木)15:00-、6月22日(水)18:20-に国立映画アーカイブで上映されます




3月24日~4月6日 大阪
93歳のゲイ

 大阪のMBS毎日放送が制作したドキュメンタリー映画など15作品が上映されるTBSドキュメンタリー映画祭2023が「シネ・リーブル梅田」で開催されますが、そのなかに『93歳のゲイ』もラインナップされています。「絶対に同性愛者と言われへん」時代を孤独に生きてきた大阪・西成の長谷忠さんの人生を追った感動のドキュメンタリーです。
 結婚をしたこともおつきあいをしたこともなく、誰にも言わず、ひっそりと孤独に生きてきた長谷さんが今のゲイコミュニティにつながったのは、「にじいろケアプランセンター」を運営する梅田政宏さんという方のおかげでした。しかし、MBSで『93歳のゲイ』が放送された3日後、梅田さんが急逝するという痛ましい出来事がありました。この作品は長谷さんの人生を振り返るだけでなく、高齢のLGBTQの支援活動に携わってきた梅田さんの姿を観ることができる作品でもあります。
 以前YouTubeにも上がっていましたが、現在は観ることができません。まだご覧になっていない方は、これを機にぜひ劇場で。

93歳のゲイ
2022年/日本/74分/PG12/監督:吉川元基
まだスケジュールの詳細が発表されていないのですが、TBSドキュメンタリー映画祭として3月24日~4月6日の間にシネ・リーブル梅田で上映されます




3月24日〜27日配信
トランスジェンダー映画祭

「昨今LGBTQについて語られる機会は増えたけど、トランスジェンダーの経験について、みんなどれくらい知ってるんだろう。いまだにステレオタイプを押し付ける人もいるし、差別や偏見もある。当事者にとっても、のびのびと自分たちの体験を語ったり、アイデンティティを模索できたりする場面はまだまだ少ない。だから、もっとたくさんのトランスジェンダーの人たちの姿をみたい! もっとたくさんのトランスジェンダーの人たちの話しているところを聞きたい! さまざまな年齢、地域、人種、バックグラウンドのトランスのストーリーがあなたを待っています。それぞれ個性ある作品を楽しもう!」(公式ページより)
 これまでも何度か企画されてきたトランスジェンダー映画祭。vimeoを使ったオンライン上映で、個性ある4作品+短編1作品、4枠でお届けします。すべての映画に日本語字幕がつきます。上映作品は「ゲームフェイス」、短編アニメ「カパエマフの魔法石」&映画「アロハの心をうたい継ぐ者」、「Major(メジャーさん)!」、「最も危険な年」です。特に「最も危険な年」は、同性婚が実現して以降、アメリカのアンチLGBTQの人たちがターゲットをトランスジェンダーに変えてにわかに攻撃を始めた経緯がまざまざと描かれ、今の日本のトランスバッシングの状況がどこから来ているのかをうかがわせるような必見作です。

トランスジェンダー映画祭2022秋 
日程:11月11日(金)14時〜11月14日(月)16時
オンライン
チケットはこちら
主催:Team Respect and Solidarity(TRanS)







3月25日 大阪
TheStagPartyShowMovies受賞記念上映会@大阪

 先日満員御礼のうちに幕を下ろしたTheStagPartyShowの『美しい人』東京上映会に続き、大阪の十三シアターセブンで『キミノコエ』『美しい人』『その駅』の3本立て上映会が開催されることになりました。(『美しい人』『キミノコエ』東京上映会のレビューはこちら

上映作品名(3作品同時上映):
1.「美しい人」2018年東京・台北作品
脚本・監督:キタムラセキチ
出演:ひろし・あんぢぇ ほか
<あらすじ>
恋人を亡くした男は新宿二丁目のコインランドリーでドラァグクィーンと仲良くなる。そしていつか、恋を忘れるために台湾の青年とSNSで出会う男は台北へ。その旅の末に男が手にしたものとは?
<概要>
 TheStagPartyShowMoviesの作品の一つ。
「美しい人」というタイトルの所以はご覧になった皆さんの心で、見つけ出していただければ嬉しいです。
台北という街と東京、新宿という街、この二つの街で綴られる恋のお話。
国を隔てても、人の持つだれかを想う「想い」というのは変わらない。そんなことを綴りました。
この物語には「火」にまつわる伝統行事が出て来ます。
主題歌にも使われている「蛍火」の歌詞の中にも、この物語のテーマが隠されているかもしれません。
最後までお楽しみいただけることを、キャスト、スタッフ一同願っております。
2021年ロンドン国際映画祭公式上映作品
2021年ブロードステアーズ国際映画祭公式上映作品
2021年国際インディペンデント映画祭公式上映作品
<受賞歴>
2021ロンドン国際映画祭 最優秀ヘア&メイク&コスチューム賞
ブロードステアーズIFF2021最優秀外国語作品シネマトグラフィー賞
ブロードステアーズIFF2021最優秀ヘア&メイク&コスチューム賞
WICA2021最優秀外国語作品助演男優賞
Best Shorts Competition2022.3 LGBTQ+部門表彰賞受賞

2.「その駅」2018年大阪作品
出演:ともや・せん ほか
<あらすじ>
恋人に浮気をされ、何もやる気がなくなった主人公の夕(ゆう)は、阪堺鉄道の終着駅である浜寺公園駅のホームに降り立った。夏の日差しの中、夕(ゆう)はロシア人?に遭遇したような幻を見る…
<概要>
よくありがちな恋人の裏切りと、人生の行方に戸惑う若い男の姿と、彼が見た?と思い込んでいるロシア人を追う数日を切り取った作品です。
真夏の大阪で巻き起こるファンタジー?のような現実のお話の中に、みなさんは何を見つけてくれるでしょうか?

3.「キミノコエ」2022年京都作品
出演:ゆうと・ゆうき ほか
<あらすじ>
主人公のゆうたは長期出張で生まれ育った京都に戻ってくることになる。ゆうたが滞在するのはかつて家族と暮らした京都の町屋。父は亡くなり、母は別の家族を持ち、姉は嫁ぎ、今は空き家となっているその町屋には、かつての親友のあすかが暮らしていたのだった…。それぞれに自分の居場所を求めていたゆうたとあすかは、ぶつかりながらも、それぞれが「避けていた」現実と向き合うこととなる…
<概要>
TheStagPartyShowMoviesの作品の一つ。
監督が学生時代を過ごした京都を舞台とした物語。
桜が散る風景の中で、二人の「少し似ているが全く違う」対照的な主人公の成長を描いた物語。

theStagPartyShowMovies2023年大阪上映会
日時:3月25日(土)15:30-、18:30-
会場:十三シアターセブン
チケットはこちらから




3月28日放送 広島
【ドキュメント広島】LGBTQとわたし~虹の下のリアル~

 男の子として生きるトランスジェンダーの中学生、法律婚ができず将来に不安を抱える女性カップル、山あいの集落にUターンしたトランスジェンダー女性など…広島ホームテレビではこれまで、広島で生まれ育ち、これからもここで暮らしたいと願う人たちの日常を伝えてきました。地方ではカミングアウトしづらく、見えない存在になっています。姿が見えないため仲間と出会いにくい、その家族や友人が求める情報も見つけにくい、偏見や差別もなかなかなくならない…その悪循環を断ち切るには、今ここに生きている人たちの「リアル」を見せることだと考えました。県内で数少ない性的マイノリティのコミュニティに、取材ディレクターが入りました。そこで出会った人たちと共に、広島のLGBTQを取り巻く現在地を伝えます。この番組では庄原市の実家に虹色の旗を掲げて「Chosen Family Shobara(CFS)」という当事者のセーフスペースとしている奥田圭さんにも取材しています。ディレクターの花房吾早子さんは以前からLGBTQ支援の記事を熱心に書いてきたアライの方です。
 広島にお住まいの方、ぜひご覧ください。

ドキュメント広島「LGBTQとわたし~虹の下のリアル~」
広島ホームテレビ(HOME)
放送日時:2023年3月28日(火)深夜1時25分~ ※広島エリアのみ

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