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Netflix Japanから「ボーイフレンド」シーズン2の制作がアナウンスされました

2024年12月16日

 本日12月16日、Netflix Japanが「ボーイフレンド」シーズン2を制作することを発表しました。


 日本初の男性どうしの恋愛リアリティショーとして今年7月から配信された「ボーイフレンド」は、男性が好きな男性たちが共同生活を送るビーチハウス「Green Room」やペパーミントのコーヒートラックを舞台に、恋人探しだけでなく(ヤラセ一切なしだったので成立したカップルは少なかったものの)ゲイであることで直面しがちな世間の風当たりや、家族へのカミングアウトのしづらさなど、いろんな思いを吐露したり、励ましあったりという友情も生まれるような番組でした。プロデューサーもゲイの方なので、これまでテレビで散々繰り返されてきた「ゲイいじり」みたいなノリが皆無で、安心して観ることができましたし、スタジオの方たちのコメントもとてもあたたかく、ありのままのゲイの恋愛(やちょっとセクシーなシーンも)がまるごと肯定されている(祝福されていると言っても過言ではない)ところが画期的で、素晴らしい番組でした(レビューはこちら
 配信が終わった後も、「セクシュアリティ」や「傷つけられた一言」のような未公開映像がYouTube配信され、ただの恋愛バラエティではなく、世間に向けてゲイのリアリティを理解してもらおうとする意図を持った作品であることがうかがえます。

 「ボーイフレンド」の反響は日本国内にとどまらず、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で8位を記録し、英国の大手紙『The Guardian』が「本当に画期的で、深く心を掴まれるほど甘い。あなたは息を呑んでこのロマンスが展開されるのを見守るだろう」とコメントし、米『DAILY BEAST』で「ボーイフレンドは過去最高のリアリティ・シリーズだ」と評するなど、海外からも絶賛評が相次ぎました(今回のシーズン2制作決定のXでの発表にも海外からたくさんリプライがついていて、海外のファンの多さを実感させます)

 最終話の配信以降、それぞれのボーイズがメディアでも注目を浴び、ダイくんがシュンくんと同じ事務所に所属したり、ボーイズたちが東京ファッションウィークに登場したり、雑誌の表紙を飾ったり、モデルプレスが選ぶ「今年の顔」にも選出されるなどしています。NHKの『虹クロ』のblogにもダイくんとシュンくんが寄稿しています。
 こうした反響の大きさを受けて、シーズン2の制作が決定した模様です。スタジオのMCはドリアンさんはじめ同じ5人が続投し、再びボーイズの恋と友情の行方を見守るそうです。
 
 
 今日のNetflixの発表を受けてSNS上では、国籍や性別を問わず喜びの声が多数上がっていて、あらためて反響の大きさを感じさせましたが、なかには「GMPDバージョンでこれを観たい」という投稿も見受けられました。
 『ボーイフレンド』のレビューでも書きましたが、ゲイシーンの重要な一角を占める(主流の一つと言っても過言ではない)「GMPD(ベアー)」や「イケオジ」な人たちが登場せず、20代、30代の太ってないカメラ映えするような人だけで固めたことは、世間にゲイのことを理解してもらいたいという意図があってそうしているのかもしれませんが(そうだとしたら、なおさら、ではないでしょうか)、ゲイの世界の多様なリアリティを伝えていないという意味で、残念でした。(欧米のゲイシーンではミナ・ゲルゲスがドラァグレースのピットクルーに選ばれたり、次世代GOGO発掘番組にも何人か太めの人が登場したり、英国を代表するゲイ雑誌『ATTITUDE』もBearコミュニティをフィーチャーしていたり、逆にトロイ・シヴァンのMVに対して「体型的多様性がない」との批判の声が上がったり、Bearのインクルージョンが当たり前になりつつありますが、そうした趨勢に鑑みると)少なくともボディポジティヴィティへの意識は感じられません。ルッキズムだと言われても仕方ないのではないでしょうか…。
  『ボーイフレンド』が配信された当時、SNSでも「GMPDバージョンでこれを観たい」という投稿がいくつもありましたし、周囲を見ても、シンコイの時の熱狂に比べるとさほど盛り上がっていないというか、あまり関心が高くなかった気がします(最近もXで、「やっと『ボーイフレンド』1話観てみたけど誰もイケない…頑張って観続けたほうがいい?」と投稿した方がいて、2万人を超えるフォロワーさんが誰一人として「観たほうがいい」とコメントせず…ということがありました)
 映画やドラマでゲイのキャラクターが描かれるとき、「自分と同じような人が登場している」と感じられるかどうかはリプレゼンテーションの意味でものすごく重要ですが(『ボーイフレンド』に限らずほぼ全ての作品においてそうなのですが)おそらく見た目や年齢の偏りのせいで「これは自分だ」と思えなかったり、「結局、映画とかドラマに出れるゲイってこういう人たちなんだよな」と疎外感を感じてきた方も少なからずいらっしゃると思います。見た目や年齢のせいで世間的にも疎外されがちなうえに「ゲイの代表を集めました」的なリアリティ番組にさえも疎外される悲しみたるや…(後者のほうが残酷に感じられるんじゃないでしょうか)。ゲイコミュニティが分断されず、いろんな人たちが思いを共有したり仲間意識を持てたりするようになるためにも、いろんなタイプの人が登場するのは重要なポイントですし、HIV予防啓発などでは当たり前に実践されてきたことです(例えば2000年代のaktaも『バディ』『G-men』『サムソン』のモデルさんを起用したカレンダーを作ったりしてました)
 
 今回、WWDやモデルプレスや、いろんなニュースサイトが今回のシーズン2のことを取り上げていますが、そういうゲイコミュニティ内の多様性に触れる記事は皆無でした。だとしたら、ゲイメディアが声を上げていくしかないと思い、このように(批判や嫌悪のメールも来るかもしれないなと思いながら)書いている次第です。
 もし今回も20代、30代の太ってないカメラ映えするような人だけで番組が作られるのであれば(そうじゃないと女性ファンを掴めない、商業的に成り立たないというNetflix側の思惑があるのだとしたら)もはやBLとあまり変わらないものになってしまうのではないでしょうか。
 シーズン2の出演者が多様性に富み、ゲイコミュニティの多くの人たちが「自分と同じような人が出ている」と思えるようなシリーズになることを願うものです。
 
 
 
参考記事:
Netflix「ボーイフレンド」シーズン2制作決定 MC5人も続投へ(modelpress)
https://mdpr.jp/news/detail/4450950
大人気Netflixリアリティシリーズ「ボーイフレンド」のシーズン2の制作が決定(WWD)
https://www.wwdjapan.com/articles/1989312
男性同士の“恋リア”番組『ボーイフレンド』シーズン2制作決定! MEGUMI、徳井義実らMC5名続投(クランクイン!)
https://www.crank-in.net/news/158205
Netflix恋愛リアリティショー「ボーイフレンド」シーズン2の制作が決定!(シネマトゥデイ)
https://www.cinematoday.jp/news/N0146462

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