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特集:2024年10月の映画・ドラマ
2024年10月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は2024年10月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は、あの是枝裕和監督が30年前、HIV感染を公表した平田豊さんを撮ったテレビドキュメンタリー作品『彼のいない八月が』、東ちづる企画・構成・プロデュースの社会派コメディサスペンス映画『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』などが上映されます
(『彼のいない八月が』より)
ゲイ術の秋、到来。10月はさすがに台風も落ち着き、お出かけもしやすくなるかと思いますので、週末は映画館や劇場、ギャラリーに足を運んでみてはいかがでしょうか? というわけで、毎月恒例の映画・ドラマ紹介特集をお届けします。
今月は、あの是枝裕和監督が30年前、HIV感染を公表した平田豊さんを撮ったテレビドキュメンタリー作品『彼のいない八月が』、東ちづる企画・構成・プロデュースの社会派コメディサスペンス映画『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』、今年のカンヌでクィア・パルムに輝いたパキスタン映画『ジョイランド わたしの願い』などが上映されます。『リトル・ダンサー』『花蓮の夏』という名作のリバイバル上映も。きっとほかにも素敵な映画やドラマの情報が出てくると思いますので、新たにわかり次第、追加・更新していきます。
ちなみに10月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『チャイコフスキーの妻』や『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』などもまだ上映されています。
(最終更新日:2024年10月10日)
上映中
チャイコフスキーの妻
『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などで知られるロシアの天才作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー。彼が同性愛者だったという、ロシアではタブー視されてきた事実を明確に描き、夫婦間の知られざる真実に迫ったのが、この映画『チャイコフスキーの妻』です。第75回(2022年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、名だたる批評家たちの賛辞を得た本作は、絵画的な映像美や流麗なカメラワークなど、型破りなまでに刺激的な映像でも話題を呼び、フランスでは17万人超を動員する大ヒットを記録しました。史実に従いながらも大胆な解釈を織り交ぜ、“世紀の悪妻”と呼ばれたアントニーナは本当に悪妻だったのか?と問うような作品になっているようです。予告編には『白鳥の湖』が流れるなか、妻のアントニーナが裸のマッチョなイケメンたちと戯れる刺激的なシーンも盛り込まれていました。
<あらすじ>
女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半・帝政ロシア期。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかったチャイコフスキーは、恋文で熱烈求愛する地方貴族の娘アントニーナと世間体から結婚することを決める。しかし女性への愛情を抱いたことがないチャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻し、夫から拒絶されるアントニーナは孤独な日々の中で狂気の淵へと堕ちていく…。
チャイコフスキーの妻
原題:Tchaikovsky's Wife
2022年/ロシア・フランス・スイス合作/143分/PG12/監督:キリル・セレブレンニコフ/出演:アリョーナ・ミハイロワ、オーディン・ランド・ビロン、フィリップ・アヴデエフ、ユリア・アウグほか
2024年9月6日より全国順次公開
上映中
ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー
ジョン・ガリアーノはモードを脱構築し、斬新で魔法のようなショーを展開し、ファッションの歴史に最も影響を与えたうちの一人と言われるような天才デザイナーで(ディオール時代のガリアーノの凄さがわかる記事がこちら)、FASHIONSNAPでドリアン・ロロブリジーダさんが「ガリアーノに影響を受けていないドラァグクイーンはいないんじゃないかと思っている」「あのスペクタクルを取り入れるのはなかなか難しいんですが、楽屋では「今日の私、ガリアーノっぽくない?」などというやりとりはたくさんありました」と語っているように、また、デザイナーの小泉智貴さんも「自分はジョン・ガリアーノのファンなので」と語っているように、ドラァグクイーンやファッション志向のゲイの方たちに多大な影響を与えてきたゲイ・アイコンでもありました。しかし、2011年、パリのバーで吐いた暴言がネットで拡散されたことをきっかけに業界を追放され、世界に衝撃を与えました。
『ホイットニー~オールウェイズ・ラブ・ユー』で高い評価を受けたケヴィン・マクドナルド監督が、アナ・ウィンター(『プラダを着た悪魔』の鬼編集長のモデルとなったファッション界の重鎮)を介してガリアーノにコンタクトをとり、インタビューすることに先行し、彼の幼少期のこと(移民の子として、ゲイとして、学校でいじめられ、厳しい父親から虐待を受け、非常につらい経験をしていた)や、アルコール依存の問題、ファッション業界の闇などにも光を当てつつ、その真実に迫ったドキュメンタリーが『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』です。『GQ』の監督インタビューによると、ジョンは今は都会から離れたエリアに家を構え、アレクシィというパートナーと暮らし、彼がジョンを支えています。映画ではその様子も映し出されています。
ファッションにあまり関心がないという方も、幼少期のつらい経験やゲイとしての生きづらさが依存症や心の問題につながる姿を見ることで、とても他人事とは思えない、とか、身近にもそういう友人がいる、とか、きっとどこかにつながりを見出し、共感が得られるのではないでしょうか。“特殊”な業界の“特殊”な人ではなく、一人のゲイの人生の真実を描いた作品として観ることができるはずです。(レビューはこちら)
ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー
原題:High & Low -John Galliano
2023年/116分/監督:ケヴィン・マクドナルド/出演:ジョン・ガリアーノ、ケイト・モス、シドニー・トレダノ、ナオミ・キャンベル、
ペネロペ・クルス、シャーリーズ・セロン、アナ・ウィンター、エドワード・エニンフル、ベルナール・アルノーほか
9月20日、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国でロードショー公開
10月4日より公開
リトル・ダンサー デジタルリマスター版
英国の炭鉱街という、貧しく、男社会な環境で、「オカマ」と罵られ、父に反対されながらもバレエをやめず、どんな困難にも負けず、力の限り踊るビリーの姿が世界中を勇気づけた不朽の名作『リトル・ダンサー』。ビリーのひたむきさに心を打たれ、やがて周囲の人たちも変わっていき…という過程が号泣モノで、親友のゲイの男の子、マイケルとの友情も泣かせます。2000年、カンヌ国際映画祭で絶賛され、英国アカデミー賞主演男優賞、助演女優賞、作品賞に輝きました。監督は、本作で映画監督デビューとなったスティーブン・ダルドリー(『めぐりあう時間たち』『愛をよむひと』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』)。バイセクシュアルであることをカムアウトしている方です。主人公のビリーを演じたのは、『ロケットマン』でバーニー・トーピンを、『異人たち』でパパの役を演じていたジェイミー・ベルです。マシュー・ボーンの『白鳥の湖』で有名になったアダム・クーパーもカメオ出演しています。映画は『ビリー・エリオット・ザ・ミュージカル』というミュージカルに翻案され、そちらも世界的に大ヒットを記録しています(日本でも現在上演中)。その『リトル・ダンサー』がデジタルリマスター版で上映されます。あの感動が23年ぶりにスクリーンによみがえります。
<ストーリー>
1984年、ストライキに揺れるイギリスの炭鉱町。11歳の少年ビリーは、息子に強い人間になってほしいという父親の願いから、ボクシング教室に通っているが、なかなか上達しない。そんなある日、偶然目にしたクラシックバレエに興味を持ったビリーは、父親に内緒でバレエを習い始めるが…
リトル・ダンサー デジタルリマスター版
2000年/英国/111分/監督:スティーブン・ダルドリー/出演:ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルイス、ジェイミー・ドラヴェン、アダム・クーパーほか
10月4日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開
10月4日より公開
花蓮の夏
高校を舞台に男子から男子への淡い恋心や(『渚のシンドバッド』のような)三角関係を描き、2000年代台湾の青春映画として名高い『花蓮の夏』。2007年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭でも上映されていますし、台北市がLGBTQバスツアーにそのロケ地を盛り込んでいるほど、クィア作品として認知されています。その『花蓮の夏』が、このたび4Kデジタル修復版でリバイバル公開されることになりました。甘いルックスと鍛えられた体が魅力の華流映画界の新星(当時)ブライアン・チャン(張容家)や、映画『GF*BF』やドラマ『ニエズ』でゲイの役を演じ、(おそらくレスリー・チャンやトニー・レオンに次ぐアジア映画界でのゲイ・アイコン的俳優となっている)ジョセフ・チャン(張孝全)が出演しているのも見どころです。まだご覧になっていない方は、この機会にぜひ。
<あらすじ>
小学校に通う優等生のジェンシンは、問題児のショウヘンと友達になるよう先生から頼まれた。正反対な性格ながらも、いつしか親友となったジェンシンとショウヘン。高校生になるころには、お互いがかけがえのない存在になっていた。ジェンシンは人知れず、友情以上の感情をショウヘンに抱いていたが、そんな2人の前に香港から転校してきたホイジャという女の子が現れたことで、ジェンシンとショウヘンの関係に静かな波風が立ち始める…。
花蓮の夏
原題または英題:盛夏光年 Eternal Summer
2006年/台湾/96分/R15+/監督:レスト・チェン/出演:ブライアン・チャン、ジョセフ・チャン、ケイト・ヤンほか
10月4日より4Kデジタル修復版でリバイバル公開
10月6日上映 京都
虎の子三頭 たそがれない
昨年TOKYO AIDS WEEKSの企画として上映されたドラァグでマジカルでゆるかわで楽しいブラジルのクィアムービー『虎の子 三頭 たそがれない』が10月6日、AIDS文化フォーラムin京都のプログラムとして上映されます。AIDS文化フォーラムin京都は、横浜のAIDS文化フォーラムと同様、1994年に横浜で開催された国際エイズ会議をきっかけに発足した啓発・交流イベントです。『虎の子 三頭 たそがれない』の上映だけでなく、『リトルガール』の上映と横浜のSHIPのシンジさんのお話、NLGRで結婚式を挙げたゲイカップルによるトーク、HIV陽性者の高齢化と支援をテーマとしたパープルハンズのフォーラムなど、ゲイの方が活躍する企画が結構ありますので、関西方面の方、よろしければご参加ください(詳細はこちら)
<あらすじ>
近未来のサンパウロ。資本主義とウィルスが充満したこの街で生きる若いクィア3人。脳に影響を及ぼすウィルスが街にひろがり人々の記憶力は低下。国家は独裁政権や植民地主義の歴史を忘れているようだ。そんな状況下、3人がHIVと生きる体験を共有したりインフルエンサーに出会ったり頼りない大人たちと時間を過ごしながら、どこかへ導かれる。
虎の子三頭 たそがれない
2022年/ブラジル/84分/監督:グスタボ・ヴィナグリ
10月6日(日)12:30-、龍谷大学深草キャンパス和顔館にて上映
10月18日より公開
まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』
TRP初期の頃からパレードに参加したり、40名超のLGBTQが出演するドキュメンタリー『私はワタシ~over the rainbow~』を製作するなどしてきた「Get in touch」の東ちづるさんが企画・構成・プロデュースした映画です。障がいを持つ方や性的マイノリティなど多様な特性をもつプロパフォーマーが集う「まぜこぜ一座」の舞台『歌雪姫と七人のこびとーず』のアフターストーリーで、座員と関係者が織りなす社会派コメディサスペンスです。エスムラルダさんが脚本を担当していて、東ちづるさんをはじめ、ろうの俳優/ダンサーの大橋弘枝さん、ダンプ松本さん、ドリアン・ロロブリジーダさん、マメ山田さん、三ツ矢雄二さん、芋洗坂係長さんなど多彩な方たちが出演します。東さんは「『こびと』が放送自粛用語なのはナゼ? マイノリティパフォーマーは普段から活躍するチャンスがないのは、ナゼ? 30年以上活動していても、このナゼ?はナゾのままです。ならば、自由な表現ができる映画で、ナゾを面白おかしくエンタメにしよう!と、まぜこぜのスタッフがまぜこぜのキャストと制作しました」とコメントしています。エンディング曲は三ツ矢さんや山寺宏一さん、日高のり子さんら声優11名がボランティアで歌っているそうです。
まつりのあとのあとのまつり『まぜこぜ一座殺人事件』
2024年/日本/92分/監督:齊藤雄基/出演:東ちづる、大橋弘枝、ダンプ松本、ドリアン・ロロブリジーダ、桂福点、野澤健、マメ山田、三ツ矢雄二、峰尾紗季、森田かずよ、矢野デイビット、悠以、石井正則、芋洗坂係長、山野海ほか
10月18日(金)より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開
10月18日より公開
ジョイランド わたしの願い
今年のカンヌ国際映画祭でクィア・パルム(最優秀クィア映画賞)に輝いたほか、第95回アカデミー賞国際長編映画賞パキスタン代表&ショートリスト選出を果たした作品です。本国では、保守派団体の「クィアや、クィアとの恋愛を美化して描いた」ことが「品位と道徳に反する」との圧力に屈した政府が公開1週間前に上映禁止を決め、しかし監督や出演者が抗議活動を行ない、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイやパキスタン系英国人俳優のリズ・アーメッドらが支援を表明し、禁止令を撤回に追い込んで上映を実現させたそうです。
<あらすじ>
パキスタンの古都ラホール。ラナ家の次男であり失業中のハイダルは、家父長制を重んじる厳格な父から「早く仕事を見つけて男児をもうけなさい」とプレッシャーを受けている。妻のムムターズはメイクアップアーティストの仕事にやりがいを見出し、家計を支えていた。そんななかでハイダルは、就職先として紹介されたダンスシアターでトランスジェンダー女性のビバと出会い、そのパワフルな生き方に惹かれていく。すると、穏やかに見えたラナ家に波紋が広がり……。
ジョイランド わたしの願い
英題:JOYLAND
2022年/パキスタン/製作総指揮:マララ・ユスフザイ、リズ・アーメッド/監督・脚本:サーイム・サーディク/出演:アリ・ジュネージョー、ラスティ・ファルーク、アリーナ・ハーンほか
10月18日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開
10月18日上映 東京
僕と幽霊が家族になった件
台湾映画界が世界に送る笑えて泣ける“同性冥婚”エンタメ映画『僕と幽霊が家族になった件』が、台湾映像フェス「TAIWAN MOVIE WEEK 2024」の1作品として上映されます。昨年台湾で興行収入3.6億台湾ドルを記録し、2023年上半期の映画興行1位となっただけあり、めっちゃエンタメ作品で、どんでん返しに次ぐどんでん返し、手に汗握る展開のあとに、まさかの感動が…さすがは台湾!と拍手したくなる傑作映画です。Netflixでも観られるのですが、スクリーンで観ることは滅多にないと思いますので、この機会にぜひ。
<あらすじ>
うだつの上がらないノンケの警察官ウー・ミンハンは、捜査中に祝儀袋を拾ったために、若くしてひき逃げ事故で亡くなったゲイの青年マオ・バンユー(マオマオ)と「冥婚」させられることに。ゲイ嫌いのミンハンは、マオマオの存在を疎ましく思いながらも、ある事件の解決に向けて奔走、マオマオの助けを得て事件は解決に向かうかと思いきや、そこには驚くべき事実があった…。
僕と幽霊が家族になった件
原題:關於我和鬼變成家人的那件事 Marry My Dead Body
2023年/台湾/130分/監督:チェン・ウェイハオ/出演:グレッグ・ハン、リン・ボーホン、ワン・ジンほか
10月18日(金)18:30-、TOHOシネマズ日比谷にて上映。チケットはこちらから
10月18日 金沢
BPM(Beats Per Minute)
金沢プライドウィークの一環で10月18日(金)に石川県立図書館「だんだん広場」で開催される国際HIVシンポジウムの中で映画『BPM(Beats Per Minute)』が上映されます。『BPM』は「ACT UP PARIS」に参加していた若者たちの群像を、ゲイのセックス、愛、死、そして生の輝きを鮮烈に描いた作品です。明日も知れぬ命であるメンバーたちの葛藤、感染者を一人でも減らしたい、命を助けたいという情熱、いずれ死ぬことがわかっていながら愛しあう恋人たち…。生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、仲間と共に強く、前向きに生きる若者たち。その生き様に胸を打たれること必至です。胸が張り裂けそうになります。魂を鷲づかみにされます。人生観すら変わるかもしれません。まだご覧になったことのない方は、この機会にぜひ。
<あらすじ>
すでに多くのゲイたちがバタバタと倒れ、次々にエイズで亡くなっていた1990年代初頭のパリ。ミッテラン政権下のフランスでも、レーガン政権下のアメリカと同じように、最も感染が広がっているゲイ・バイセクシュアル男性たちに対して何の手立ても施されていなかった(見殺しにされていた)。そこで、アメリカに続き、「ACT UP PARIS」(「ACT UP」については、映画『UNITED IN ANGER –ACT UPの歴史-』をご覧になり、ご存じの方もいらっしゃると思います)が立ち上げられ、HIV陽性者への差別や不当な扱いに怒り、政府や製薬会社に派手な抗議を行ない、制度変革に挑んでいくのだった…。
BPM(Beats Per Minute)
原題または英題:120 battements par minute
2017年/フランス/監督:ロバン・カンピヨ/出演:ナウエル・ペレ・ビスカヤー、アーノード・バロワ、アデル・エネルほか
10/18(金)12:30-、石川県立図書館「だんだん広場」で開催される国際HIVシンポジウムにて上映。参加事前申込はこちらから
10月22日 東京(オンライン上映も)
ヤマアラシのジレンマ
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2024 秋の国際短編映画祭の「SSFF & ASIA 2024 受賞プログラム1-人生の足跡」の中でポーランドの短編映画『ヤマアラシのジレンマ』が上映されます。全編手話で構成されており、感動を呼ぶ作品になっているようです。解説文には明記されていないのですが、「LGBTQ+」のカテゴリーに分類されています。
<あらすじ>
作品の舞台は、依存症に悩むろう者の若者向けのリハビリ施設。新患の主人公は長期入院者に惹かれていることに気が付き、治療中に2人の絆を深めようと奮闘するが…。
ヤマアラシのジレンマ
英題:Hedgehog’s dilemma
2023年/ポーランド/16分/監督:Mateusz Rybinski/出演:Maciej Kosiacki、Joanna Mizgier、Danuta Lewandowskaほか
10月22日(火)20:35-22:05、ユーロライブにて上映されるほか、オンラインでも10/25から視聴可能(詳細、チケットはこちら)
10月26日・27日上映 横浜
彼のいない八月が
劇団フライングステージ『こころ、心、ココロ -日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語-』でもフィーチャーされていた平田豊さん。1992年に性交渉によるエイズ患者として初めてカムアウトして注目を集め、メディアにも出て、講演活動なども行なって、『あと少し生きてみたい: ぼくのエイズ宣言』という著書も発表し、1994年にエイズで亡くなった方です。当時テレビマンユニオンに所属していた是枝裕和さんは、闘病しながらも力を振り絞りながら詩をつくり、公演を行なう平田さんの姿をカメラとともに追い、やがて彼に寄り添うようになります。その映像には、エイズを発症し、闘病しながらも、明るくちょっといい加減に、そして一生懸命に生きた平田さんの姿が記録されています。この『彼のいない八月が』という作品がフジテレビ「NONFIX」で放送された1994年の8月には、横浜でアジアで初となる国際エイズ会議が開催されましたが、依然として有効な治療法が見つからないまま、感染者や死者が増えていき、医療従事者や活動家にも疲れが見えていた時期でしたが、一方で、東京ではプライドパレードが初開催されたりもしていました。本作は将来への不安と希望が入り混じった、そんな時代の空気を感じさせる作品です。この作品の放送からちょうど30年が経った今、2日間限定で、横浜で上映が実現します。26日の回は、フライングステージの関根信一さんが登壇するトークもあります。貴重な上映の機会をお見逃しなく!
彼のいない八月が
1994年/日本/77分/監督:是枝裕和/出演:平田豊ほか
2024年10月26日(土)、27日(日)11:45-、横浜シネマ・ジャック&ベティにて上映(資料代:1,500円)。詳細・チケット購入はこちらから
10月29日 東京
グランドブダペストホテル
今年の東京国際映画祭で「サーチライト・ピクチャーズ設立30周年企画」として過去の名作がまとめて上映されるのですが、その中にゲイやバイセクシュアル男性のキャラクターが登場する作品が何本もあります。その一つが『グランドブダペストホテル』(2014)です。ウェス・アンダーソン監督の作品の中でも最も人気を博している作品で、「どこを切っても絵画のよう」「大人のおとぎ話」と評され、独特な世界観で観客を魅了し、第87回アカデミー賞で4部門を受賞しています。その中に登場する伝説のコンシェルジュ、グスタフ・Hが、夜のお相手も含めて宿泊客を究極のおもてなしでお迎えする色気のある男性なのですが、彼がバイセクシュアルの人物なのです。実はこの映画の登場人物は、クィア、移民、ユダヤ人と、ナチスの迫害を受けた属性の人たちです。そのことが、一見コミカルに見えるこの作品の悲劇性を解く鍵になっています。
<あらすじ>
美しい山々を背に優雅に佇む、ヨーロッパ最高峰と謳われるグランド・ブダペスト・ホテル。その宿泊客のお目当ては“伝説のコンシェルジュ“グスタブ・Hだ。彼の究極のおもてなしは高齢マダムの夜のお相手までこなす徹底したプロの仕事ぶり。ある日、彼の長年のお得意様であるマダムDが殺される事件が発生し、遺言で高価な絵画がグスタブに贈られたことから、彼は容疑者として追われることに…。
グランド・ブダペスト・ホテル
原題:The Grand Budapest Hotel
2014年/米国・ドイツ/100分/監督:ウェス・アンダーソン/出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラハム、エドワード・ノートンほか
10/29(火)14:30- 丸の内ピカデリー2にて上映
10月30日 東京
シェイプ・オブ・ウォーター
東京国際映画祭「サーチライト・ピクチャーズ設立30周年企画」その2は、2018年のアカデミー賞の作品賞や監督賞に輝いたギレルモ・デル・トロのダークファンタジー映画『シェイプ・オブ・ウォーター』です。『美女と野獣』へのアンチテーゼとしての、現代の『人魚姫』のようなおとぎ話。一見グロテスクに見えることの中に美しさがあるという愛の物語。声を上げられない女性やゲイや黒人などいろんなマイノリティの人たちが一丸となって、体制側の差別主義野郎と闘っていく痛快さ。掛け値無しに素晴らしい作品です。時代設定は1962年ですが、年老いたジャイルズはゲイであるがゆえにろくな仕事を与えられず、不遇で孤独な人生を送っていて…という描写がリアルで身につまされます。そんなジャイルズが友人のイライザのために大活躍する姿が本当に素敵です(ジャイルズを演じたリチャード・ジェンキンスはアカデミー助演男優賞にノミネートされました)。まだご覧になっていない方はぜひ。
<あらすじ>
1962年、米ソの冷戦時代、清掃員として政府の極秘研究所に勤めるイライザは声を出すことができないこともあり、孤独な生活を送っていた。だが、同僚のゼルダと一緒に極秘の実験を見てしまったことで、彼女の生活は一変する。人間ではない不思議な生き物との言葉を超えた愛。そしてイライザは、生体実験のために彼を殺そうとする計画を知り、仲間たちの力を借りて、彼を救出することを決意する……。
シェイプ・オブ・ウォーター
原題:The Shape of Water
2017年/米国・メキシコ/123分/監督:ギレルモ・デル・トロ/出演:サリー・ホーキンス、リチャード・ジェンキンス、オクタヴィア・スペンサー
10/30(水)13:30- 丸の内ピカデリー2 にて上映
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