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COLUMN

2020年の世界エイズデーキャンペーン

コロナ禍の影響でHIV検査を受ける方が激減しています。今年も「TOKYO AIDS WEEKS」をはじめ世界エイズデーのキャンペーンが実施されます。この機会に改めてHIV/エイズの情報に触れ、検査を受けたりしましょう。

2020年の世界エイズデーキャンペーン

 2020年、世界はコロナ禍のまっただなかで12月1日の世界エイズデーを迎えます。
 当然のことながら、コロナ禍だからといってHIVが感染を待ってくれるわけではありません。私たちはある意味、性質の異なる2つのパンデミックと向き合わなくてはならない時期を過ごしているのです。
 9月に「HIV検査が前年の約4分の1に激減。エイズを発症してわかる方が増えています」というニュースでお伝えしたように、コロナ禍の影響で保健所がHIV検査を中止していることもあり、人々が検査を受ける機会が全体的に激減しています(この影響は現在も続いています)
 そんななか、今年も「TOKYO AIDS WEEKS」をはじめ、12月1日前後に世界エイズデーのキャンペーンが実施されます。改めてHIV/エイズについて意識を高め、さまざま学んだり、感じたり、検査を受けに行ったりという機会にしましょう(東京都の検査情報はこちら)。今年は(日本エイズ学会も初めてオンライン開催になるそうですが)イベントのほとんどがオンライン開催となってしまいますが、aktaやプライドハウス東京では展覧会なども企画されていて、リアルに楽しめそうです。


TOKYO AIDS WEEKS 2020

 今年も12月1日の世界エイズデーの前後の時期(11月15日~12月15日)、NGOなどが連携し、「TOKYO AIDS WEEKS」として情報発信を行います。毎年恒例の合唱のコンサートは残念ながら行われないのですが、オンラインイベントや展覧会を中心に、これまで以上に多くの企画が準備されています。すでに22のイベントが決まっていて、さらに増える予定です。ここではゲイ・バイセクシュアル男性向けのイベントなど一部を抜粋してご紹介いたします。(日付順)


11/26〜12/25
展覧会「U=U 2020 HIVの新常識を知ろう」

 今年、東京レインボープライドでHIV関連合同ブースの出展を予定していた4団体、「NPO法人akta」「NPO法人日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」「認定NPO法人ぷれいす東京」「ヴィーヴヘルスケア株式会社」が協力し、「U=U」のポスターを作成しました。新型コロナウイルスの影響が続く2020年、aktaではHIVの新常識「U=U」についてキャンペーンを行います。新宿二丁目のコミュニティセンターaktaで「U=U」のキーポイントをまとめたポスターの展覧会を行います。お持ち帰りいただけるパンフレットもご用意していますので、ぜひこの機会にご来場ください。またオンラインによるTalk Showも予定しています。どなたでも無料でご参加いただけます。 

展覧会「U=U 2020 HIVの新常識を知ろう」
日時:2020年11月26日(木)〜12月25日(金)
会場:コミュニティセンターakta
無料
※ご来場者に新型コロナウイルスの感染防止対策へのご協力をお願いしています。


11/26
国連合同エイズ計画と国立国際医療研究センターとの覚書調印

 国立研究開発法人国立国際医療研究センター(NCGM)は、11月26日(木)17時から、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と、東京五輪に向けたFast Track Citiesとセクシャルヘルス推進に関する覚書をオンラインで締結します。記念行事として、11月24日〜12月4日に国立国際医療研究センター地下1階アトリウムおよびオンラインにてUNAIDSとNCGMのHIV対策に関するパネル展を行うほか、UNAIDS協力のもとセクシャルヘルス情報発信サイト「Tokyo Sexual Health 2020」(東京2020公認プログラム)を公開します。

国連合同エイズ計画と国立国際医療研究センターとの覚書調印
日時:2020年11月26日(木)17:00〜
会場:オンライン
無料
※会場でのパネル展閲覧は感染対策のため一部の来訪者に限られます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。


11/27〜12/14
世界エイズデー in PRIDE HOUSE TOKYO LEGACY

 LGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」で行われる世界エイズデーの企画展。2006年6月〜2012年9月の6年余にわたってユウジさんが綴った日記「僕らのポジティブ・ダイアリー」が展示されます。併せて、堀井ヒロツグさんの写真「Voices / からだの声を聴く」(2014)も展示されます。
 また、U=Uについての展示も行われます。ぜひ、あなたのHIV/エイズの知識をアップデートしてください。会場にはあなたの声を投稿できるポストも設置されますので、感想や、HIVについて思っていることなどをご投稿いただけます。

世界エイズデー in PRIDE HOUSE TOKYO LEGACY
日時:2020年11月27日(金)〜12月14日(月)13時〜19時
会場:プライドハウス東京レガシー(東京都新宿区新宿1-2-9 JF新宿御苑ビル 2階)
休館日:毎週火曜、水曜、木曜
無料




12/4
映画『Paris Is Burning』上映会

  『Paris Is Burning』(『パリ、夜は眠らない』)はクィア・ドキュメンタリー史上に燦然と輝く、不朽の名作にして金字塔的作品です。
 
1980年代後半、ニューヨーク・ハーレムで夜な夜な繰り広げられる華やかなボールルームパーティ。マドンナの『Vogue』の元となった、現在も続くヴォーギングというダンスがどのように誕生したかということだけでなく、(『POSE』でもフィーチャーされていたように)エイズ禍の時代、そこに集う有色人種のクィアたちがどんな厳しい現実に直面していたかということもリアルに描かれています。

 現在では配信サービスにも乗っておらず、DVDレンタルなどで観るしかない作品ですが、中村キース・ヘリング美術館がこのたび、この貴重な映画の上映会を開催することになりました。展示室で美術館スタッフと映画を観るという趣向です。ドネーション制(投げ銭制)で、鑑賞料は全額、ぷれいす東京に寄付されるそうです。

映画『Paris Is Burning』上映会
日時:2020年12月4日(金)14:00開演(約80分)
会場:中村キース・ヘリング美術館 自由の展示室( 山梨県北杜市小淵沢町10249-7)
鑑賞料:ドネーション制(投げ銭制)※別途入館料が必要です。
定員:20名
申込不要
詳細はこちら



12/5
映画『ウィークエンズ』配信上映&トーク

 第66回ベルリン国際映画祭パノラマ部門観客賞受賞作品『ウィークエンズ/Weekends』の配信上映&トークイベントが開催されます。
「泣いたり笑ったり、ユーモラスにチャーミングに、自分の声で、この世界に向けて朗らかに歌う♪ソウルのゲイ・コーラスグループ「G-Voice」の感動のドキュメンタリー映画。それぞれの恋愛、葛藤、苦しみ、喜び、孤独、愛情などを、時に楽しくユーモラスに、時に素直に涙を流しながら、話し、歌う彼らの姿には、誰もがきっと心を打たれることでしょう。『ウィークエンズ/Weekends』は、無知、不安、そして嫌悪に根ざした偏見に立ち向かうための、素晴らしい勇気がもらえる作品です」
 アフタートークでは、ソウルと繋ぎ、映画に登場する「G-Voice」のメンバー、Nam Choさんをお招きしてトークとQ&Aを行います。ゲストスピーカーとして、日韓の若者の交流を支える林夏生さん(富山大学)、ぷれいす東京の生島嗣さんが加わり、映画の話から、韓国の社会と性的マイノリティ、インターセクショナリティ、セクシュアルヘルスの現状などについて伺います。内容の濃いアフタートークになりそうです! ぜひご参加ください!

映画『ウィークエンズ』配信上映&トーク
日時:2020年12月5日(土)20:00〜22:40
会場:オンライン
入場料:1,500円(映画&トーク視聴料)
定員:70人
お申込先:こちら


12/6
ぷれいす東京 ポジティブ・トーク〜HIV陽性者とかたる

 ポジティブ・トークは、HIV陽性者に体験談などを話してもらう企画です。12月6日にはぷれいす東京のスタッフやボランティアの陽性者たちによるトークを行う予定です。代表の生島さんがナビゲートします。HIVと向き合う中での様々な出来事、大切な人や家族とのこと、医療機関でのことなどをYouTubeでLIVE配信します。

ぷれいす東京 ポジティブ・トーク〜HIV陽性者とかたる
日時:2020年12月6日(日)18:00〜
会場:オンライン
無料



12/11
Visual AIDS 映像集「トランスミッションズ」

 昨年はVisual AIDSの「Day With(out) Art」30周年を記念する短編映像集「STILL BEGINNING」の上映会を開催するなど、5年にわたって映像上映会を行ってきたノーマル・スクリーンが、今年もVisual AIDSの新作映像を日本語字幕付きで上映してくださいます。
 南米でHIVと共に生きる女性たちのことが無視されている現状、インドで西洋のパブリックヘルスキャンペーンが効果をみせないこと、ウガンダでスティグマを抱えながら生きる若者たち、など幅広い課題をとらえる6作品。オンラインでの配信となります。

Visual AIDS 映像集「トランスミッションズ」
日時:2020年12月11日(金) 20:00〜
会場:オンライン
入場料:カンパ制
定員:50名
申込先:こちら


12/12
PrEPオンライン学習会2020 for ゲイ・バイセクシュアル男性

 今回のオンライン学習会では、3名の専門家をお招きし、PrEPについて定期検査を実施している病院やクリニックの紹介、ジェネリック医薬品の入手方法についてもご解説いただき、皆様からのPrEPに関する疑問にも回答いたします。PrEPについて知りたい方や開始を検討している方、またすでに服用中の方も、この機会にぜひご参加ください。

PrEPオンライン学習会2020 for ゲイ・バイセクシュアル男性
日時:2020年12月12日(土) 19:00~21:00
会場:オンライン
無料(活動資金のための寄付歓迎)
ゲスト:上村悠(国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター Sexual Health外来) 髙野操(国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター 臨床研究コーディネーター) 山口正純(武南病院)
要事前申込:こちら


12/13
PrEP処方ドクター(東京、大阪)に聞く〜onlineトーク

実際にPrEPを処方している東京、大阪の医師をお招きして、意見交換をします。
<プログラム>
・アンケート調査から見える課題
・クリニックの取り組み
・使用者の経験談
・NGOからの質問

PrEP処方ドクター(東京、大阪)に聞く〜onlineトーク
日時:2020年12月13日(日)14:00〜
会場:オンライン
無料
ゲスト:谷口恭(太融寺町谷口医院 / 医師)  塩尻大輔(パーソナルヘルスクリニック/医師)  司会:生島嗣(認定NPO法人ぷれいす東京 代表)
要事前申込:こちら


 
全国のコミュニティの情報

 今年も、全国のコミュニティセンターなどで、世界エイズデー前後にキャンペーンや検査イベントなどが開催されます。北から順に、ご紹介します。(新たに情報がわかり次第、追加していきます)


◇札幌
世界エイズデーシアター2020『Rights,Light ライツ ライト』

 札幌でHIV予防啓発や陽性者への差別の解消のための啓発を行なっている「世界エイズデー札幌実行委員会」。昨年は劇団フライングステージの『PRESENT』を上演していましたが、今年はフライングステージの新作『Rights,Light ライツ ライト』をオンラインで無料配信するそうです。
 
世界エイズデーシアター2020『Rights,Light ライツ ライト』
日時:12月1日(火)20:00〜
無料
YOUTUBEチャンネル【世界エイズデーシアター】で配信



◇仙台
コンドームまつり

 さまざまな種類のコンドームの展示するほか、お持ち帰り可能なコンドームも各サイズ(S、M、L、LL)ご用意。いろいろなサイズを持ち帰って、自分にぴったりのサイズを見つけてください。
 なお、仙台の「やろっこ」では、東北6県の検査情報を紹介する「Go To 検査 TOHOKU」キャンペーンを実施中。また、「community center ZEL」では12/5に「ZEL UNDERWEAR+MASK PARTY」も開催するそうです。

コンドームまつり
日程:2020年11月27日(金)〜12月8日(火)
会場:community center ZEL
無料
※新型コロナウイルス感染防止のためマスクの着用をお願いします


◇大阪
¥0ゼロエン性病検査!頼れる街のお医者さん

 大阪や兵庫の計13ヵ所のクリニックで、HIVや梅毒、B型肝炎、C型肝炎、クラミジアの検査、またはHIV、梅毒、B型肝炎の即日検査を無料で受けられるというキャンペーンです。受けやすい時間帯で、すぐにその場で医師に相談でき、治療につながるのが特長です。「ぼくらの街には頼れるお医者さんがいます。この機会に検査を受けてみませんか?」

¥0ゼロエン性病検査!頼れる街のお医者さん
日程:2020年11月2日(月)~12月12日(土)
会場:大阪や兵庫の計13ヵ所のクリニック
無料
※クリニック・診療所によっては、発熱されている方の受診をお断りさせていただくことがあります。


◇松山
松山市保健所ゲイ・バイ男性限定検査会(無料)

 今年もHIV、梅毒、B型・C型肝炎ウイルスの検査を無料・匿名で受けられる検査会が開催されます。この機会にぜひ!

松山市保健所ゲイ・バイ男性限定検査会(無料)
日時:2020年12月6日(日)16:00~17:30
会場:松山市保健所
無料



HIVとCOVID19をめぐるセクシャルヘルス情報

 「コロナ禍による困り事や不安を解消するためのヒント」でも書きましたが、私たちのセックスは決して「不要不急」などではなく、とても切実な問題です。カナダのブリティッシュコロンビア州疾病管理センターは「セックスはメンタル、ソーシャル、フィジカル面の健康にとって、非常に重要たりえます。それは日々の生活の一部です。人々は、このパンデミックのさなかであっても、セックスを続けることができるし、そうすべきです」と述べています。私たちはある意味、HIVとCOVID19という2つの感染症に気をつけながらセックスライフを送らなければいけないという、なかなかに難度の高い時代を生きていると言えます。しかし、「ダメ、絶対」ではなく、自暴自棄にリスキーなセックスをするのでもなく、これまでHIV予防で心がけてきたことにプラスして、COVID19予防にも十分気配りしながら、SAFER SEXを心がけましょう。
 ここでは、コミュニティの様々な団体が提供してくれている情報、そしてg-lad xxが今年お届けしてきたHIV予防やCOVID19予防についてのセクシャルヘルスのニュース(トピック)を一覧でご紹介します。

【HIVと新型コロナウイルス】
HIV・セックスと新型コロナウイルス感染症に関連する支援情報(akta)
https://akta.jp/covid-19/

HIVと新型コロナウイルス関連情報など(ぷれいす東京)
https://ptokyo.org/news/12466

【現在PrEPを行なっている方へ】
【新型コロナウイルス感染症関連情報】PrEPの服用中断と再開
https://hiv-prep.tokyo/covid-stopping-and-starting-prep/

【その他、今年のセクシャルヘルス関連トピック】
あおぞらクリニックが日本で初めてクリニックでのHIV遺伝子検査を開始
https://gladxx.jp/news/2020/04/6317.html

エイズ対策に携わってきた市民団体、HIV陽性者、研究者らが厚労省に「新型コロナウイルス感染症に対する要望書」を提出
https://gladxx.jp/news/2020/05/6391.html

COVID-19について、抗HIV薬を服用しているHIV陽性者は一般の患者と特に変わらず、同じ治療法でよいとの研究論文が発表
https://gladxx.jp/news/2020/06/6437.html

ニューヨーク市保健局がCOVID-19予防のためのセーファーセックスの指針を更新
https://gladxx.jp/news/2020/06/6422.html

HIV陽性者も加入できる共済ができました
https://gladxx.jp/news/2020/07/6485.html

二丁目のaktaのセンター長がジャンジさんから木南さんに交代しました
https://gladxx.jp/news/2020/07/6509.html

カナダのBC州が公にグローリーホールの使用を推奨したことを受け、YouPornが建設資金を提供すると発表
https://gladxx.jp/news/2020/07/6516.html

PrEPユーザーへの調査の結果、セックス依存や薬物使用が減ったことが明らかになりました
https://gladxx.jp/news/2020/8/6573.html

HIV検査が前年の約4分の1に激減。エイズを発症してわかる方が増えています
https://gladxx.jp/news/2020/9/6617.html




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