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特集:2024年7月の映画・ドラマ

2024年7月に上映・放送・配信されるLGBTQ関連の映画やドラマの情報をお伝えします。今月は日本初の男性どうしの恋愛リアリティショー『ボーイフレンド』、アルモドバル初のクィア西部劇でペドロ・パスカル&イーサン・ホークというイケオジ2人が主演する『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』、橋口亮輔監督の新作『お母さんが一緒』などが上映・配信されます

特集:2024年7月の映画・ドラマ

(『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』より)


 梅雨入りしたばかりで当分はっきりしない天気が続きそうですね…たとえ週末が雨だとしても、映画館なら濡れる心配もなく楽しめますので(行くまでが億劫かもしれませんが)映画館や劇場ギャラリーなどに足を運んでみてはいかがでしょうか?
 今月は日本初の男性どうしの恋愛リアリティショー『ボーイフレンド』、アルモドバルが初のクィア西部劇に挑戦し、ペドロ・パスカル&イーサン・ホークというイケオジ2人が主演する『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』、橋口亮輔監督の新作『お母さんが一緒』などが上映・配信されます。
 なお、いつも7月の三連休に開催されているレインボー・リール東京は、諸般の事情により、7月から数ヶ月先に延期されています。日程が明らかになりましたら、またお知らせいたします。
 ちなみに7月1日はファーストデー。各館1100円〜1200円で映画を観ることができます(特別上映等を除く)。『94歳のゲイ』は京都・大阪でご覧いただけます。『ドライブアウェイ・ドールズ』も上映中です。
(最終更新日:2024年7月7日)
 
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上映中
94歳のゲイ

 男が好きということを「絶対に言われへん」時代を生き、ずっと思いを胸に秘め、セックスすらせず、90近くなるまで誰にもゲイだと知られずに孤独に生きてきた長谷忠さんの人生を追ったドキュメンタリー映画です。2022年にMBSで放送された「93歳のゲイ~厳しい時代を生き抜いて~」が大きな反響を呼び、2023年にはTBSドキュメンタリー映画祭2023にて関西限定上映され、今回は追加撮影の素材も加えた90分の再編集版『94歳のゲイ』として劇場公開されます。
 西成区で「にじいろケアプランセンター」を経営するケアマネジャーの梅田政宏さんも、長谷さんほどではないかもしれませんが、厳しい時代を生きてきた方で、この映画の第二の主人公と言える存在ですが、残念ながら2022年のMBSでの放送の3日後に急逝しました…そのことを長谷さんはどう受け止めたのか、唯一、心を開いて何でも話せるゲイ友だった梅田さんが亡くなった後、長谷さんは果たして、どう暮らしてきたのか、といったお話が、新たに加わっています。(レビューはこちら

94歳のゲイ 
2023年/日本/90分/PG12/監督:吉川元基
名古屋と宮崎で上映中です。札幌では7月6日から上映されます(初日に監督と満島てる子さんが出演するトークショーがあります)



上映中
ドライブアウェイ・ドールズ

 ガールフレンドと別れたレズビアンのジェイミーと、堅物で自分の殻を破れずにいるマリアン。日々の生活に行き詰まりを感じる二人が、気分転換にアメリカ縦断ドライブに出発するというお話です。車の配送(=ドライブアウェイ)をしながら目的地のフロリダ州タラハシーへ向かうことにした二人は、配送会社で受付係のカーリーから1台の車を手配してもらうが、運転中のアクシデントがきっかけで、車のトランクの中に謎のスーツケースを発見。中身を確認すると、なんと、信じられない“ブツ”が入っていた! 謎のスーツケースを取り戻そうとするギャングたちに追われ、ジェイミーの元カノで警察官のスーキー、物語のキーパーソンとなるゲイリー・チャネル上院議員らを巻き込み、事態は思わぬ方向へ!? という展開だそうです。
 『ノーカントリー』のイーサン・コーエン監督が妻トリシア・クックと共同で脚本・製作を手がけており、『哀れなるものたち』に出演するマーガレット・クアリーと、MCU新作『Thunderbolts』(原題)への出演が注目を集めるジェラルディン・ヴィスワナサンが主演を務め、「THE LAST OF US」のペドロ・パスカルや、マット・デイモン、さらにマイリー・サイラスが特別出演を果たしています。

ドライブアウェイ・ドールズ
原題:Drive-Away Dolls
2024年/米国/85分/PG12/監督;イーサン・コーエン/出演:マーガレット・クアリー、ジェラルディン・ヴィスワナサン、ペドロ・パスカル、マット・デイモン、マイリー・サイラスほか



 
〜7月7日 山口
ミツバチと私』『ふたつの部屋、ふたりの暮らし

 6月29日に山口レインボープライド2024が開催されるのに合わせ、山口情報芸術センター[YCAM]が6本のLGBTQ映画を特集上映します。6本のうち『ミツバチと私』『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』の2本は7月も上映されます(詳しくはこちらをご覧ください)

LGBTQ映画特集
期間:〜7月7日
会場:山口情報芸術センター[YCAM]
有料
チケットは当日券のみ(館内2階・スタジオC受付にてご購入ください)
上映作品・上映日時は以下の通りです

ミツバチと私
 8歳のアイトールは、自分の性自認が分からず、心を閉ざしていたが、叔母が営む養蜂場でハチや自然とのふれあいを通してありのままで生きていきたいという思いを強めていく。《本当の自分》を探す子どもの葛藤と、寄り添う家族の物語。第73回ベルリン国際映画祭にて史上最年少で主演俳優賞を受賞!

2023年/スペイン/128分/配給:アンプラグド
監督・脚本:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン
製作:ララ・イサギレ・ガリスリエタ、ヴァレリエ・デルピエル
美術:イザスクン・ウルキホ
出演:ソフィア・オテロ、パトリシア・ロペス・アルナイス、アネ・ガバライン
<上映日時>
7月3日(水) 10:30〜12:38
7月4日(木) 10:30〜12:38
7月5日(金) 10:30〜12:38
7月6日(土) 16:35〜18:43
7月7日(日) 12:30〜14:38

ふたつの部屋、ふたりの暮らし
 南仏モンペリエを見渡すアパルトマン最上階、向かい合う互いの部屋を行き来して暮らす隣人同士のニナとマドレーヌ。長年密かに愛を育んできた2人の女性が社会の障壁の中で闘う姿をサスペンスフルに描いたドラマ。2020年セザール賞新人監督賞受賞など国際映画賞を多数受賞し、大きな話題を集めた。

2019年/フランス、ルクセンブルク、ベルギー/95分/配給:ミモザフィルムズ
監督:フィリッポ・メネゲッティ
脚本:フィリッポ・メネゲッティ、マリソン・ボヴォラスミ
音楽:ミケーレ・メニーニ
出演:バルバラ・スコヴァ、マルティーヌ・シュヴァリエ、レア・ドリュッケール、ミュリエル・ベナゼラフ
<上映日時>
7月3日(水) 13:05〜14:40
7月4日(木) 13:05〜14:40
7月5日(金) 13:05〜14:40
7月6日(土) 14:35〜16:10
7月7日(日) 15:05〜16:40

 
7月1日 東京
橋口亮輔監督作『ぐるりのこと。』『二十才の微熱』『渚のシンドバッド』

 橋口亮輔監督が手がけた「お母さんが一緒」が7月12日に劇場公開されることを記念し、『ぐるりのこと。』『二十才の微熱』『渚のシンドバッド』が渋谷ユーロスペースで特別上映されることになりました。
 1993年に上映された『二十才の微熱』は、いわゆるウリ専をやっている学生の男の子を描いたナイーブなタッチの青春ドラマ作品で、世間的にも大ヒットを記録しました。日本で初めてオープンリーゲイの監督がゲイを描いたメジャーな長編映画です。今振り返ると、1993年という年は(もちろんLGBTという言葉もない、世間でも同性愛者の権利など認められていない、まだパレードも始まっていない時期ではありますが)『二十才の微熱』が上映され、ドラマ『同窓会』が放送され、『バディ』の創刊号が発売されるという、世の中変わりはじめるかもしれないという予感を感じさせるような年でした。そういう時期を象徴するような作品です。橋口監督自身もウリ専の客の役として出演していたりします。

 続く『渚のシンドバッド』(1995年)も名作で、同級生の男の子を好きになるゲイの高校生とその親友の女の子を中心にしたひと夏の青春群像劇ですが、なんと、歌手デビュー前の浜崎あゆみさんが主演しています。『渚のシンドバッド』がいちばん好き、何度も観た、という方も多いようです。

 『ぐるりのこと。』は、ゲイには直接関係がなく、うつに苦しむ女性を主人公にした社会派の作品で、監督自身のうつを患った経験が反映されていて、真に迫るものがあり、シリアスではあるのですが、限りなく優しい作品でした。日本アカデミー賞、報知映画賞、ブルーリボン賞、山路ふみ子映画賞など、数々の映画賞を受賞しています。

 ユーロスペースで7月1日〜3日、19:00から1作ずつ上映され、それぞれ監督を含むトークショーが行なわれます(『ぐるりのこと。』は主演のリリー・フランキーさんが登壇。ファンの方は必見です)

映画「お母さんが一緒」公開記念 「ひと」を描く映画監督 橋口亮輔作品 特別上映
会場:東京都 ユーロスペース
料金:1200円均一
7月1日(月)19:00
『ぐるりのこと。』
トークショー出演者:橋口亮輔、リリー・フランキー
7月2日(火)19:00
『二十才の微熱』
トークショー出演者:橋口亮輔、森直人(映画評論家)
7月3日(水)19:00
『渚のシンドバッド』
トークショー出演者:橋口亮輔、奥山大史


7月6日 青森
第16回青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

 今年で第16回を数える(日本でも指折りの長い歴史を持つLGBTQ映画祭である)青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバルが今年も開催されます。上映作品は日本短編集(『夫=夫』『変わるまで、生きる』『片袖の魚』)と『CURED』(劇場では日本初上映。かつて同性愛者に行なわれていた“治療 ”のことを追ったドキュメンタリー)『愛で家族に〜同性婚への道のり』(東北初上映)。いずれもLGBTQのリアリティや社会的課題を捉えた観る価値のある作品で、東北では貴重な上映の機会ともなりますので、ぜひご覧ください。青森のLGBTQ団体スクランブルエッグとのコラボで、会場での展示も行なわれるそうです。

第16回青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル
日時:7月6日(土)13:00-
会場:アウガ5FカダールAV多機能ホール(青森県青森市新町1-3-7)
チケットは当日券のみ、自由席(詳細は公式サイトでご確認ください)
主催:青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル実行委員会
協力:在札幌米国総領事館、LGBTサークル スクランブルエッグ、特定非営利活動法人 あおもりラジオくらぶ



7月6日公開
愛のぬくもり

 ぶつかって階段から転げ落ち、体が入れ替わってしまった小説家の辺見たかしと美容師の横澤サトミの物語…というと、尾美としのりさんと小林聡美さんが主演した大林宣彦さんの名作『転校生』を思い浮かべる方も多いことと思います。二人はお互いになりきり、それぞれの生活を送ることになりますが、たかしの妻・由莉奈には男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男ができたことを理由に別れを切り出される、というところが『転校生』とは違うところです。ゲイバーのマスターの役で田中幸太朗さん(『爆竜戦隊アバレンジャー』)が出演しているそうで、いろんな意味でクィアな作品と言えそうです。

 <あらすじ>
39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。

愛のぬくもり
2024年/日本/91分/R15+/脚本・監督:いまおかしんじ/出演:小出恵介、風吹ケイ、田中幸太朗ほか
2024年7月6日公開



7月8日放送
ハッシュ!

 橋口亮輔監督が手がけた「お母さんが一緒」が7月12日に劇場公開されることを記念し、BS松竹東急「よる8銀座シネマ」で橋口監督の名作「ハッシュ!」が放送されます。
 ゲイカップルと、彼らのために子どもを産もうとする女性の3人が、あらゆる現実的な問題を克服し、新しい「家族」の可能性をさぐってゆく感動的にしてコメディでもある作品です。カンヌ国際映画祭監督週間正式招待作品。
<あらすじ>
ペットショップで働く直也は気ままなゲイライフを送っている。土木研究所で働く勝裕はゲイであることを隠している。そして、つきあい始めた直也と勝裕が、歯科技工士の朝子と出会ったことで、その関係が揺れ動く…。

ハッシュ!
2001年/日本/2時間15分/監督:橋口亮輔/出演:田辺誠一、高橋和也、片岡礼子、秋野暢子ほか
BS松竹東急 で7月8日(月) 20:00 - 22:30放送



7月9日配信
ボーイフレンド

 日本初の男性どうしの恋愛リアリティショー『ボーイフレンド』は、男性を恋愛対象とする9人の男性が海辺のビーチハウスに集い、コーヒートラックをみんなで運営しながら1ヵ月ほどの共同生活を送るというものです。プロデューサー及びキャスティングを担当したのはモデル、DJとしても活躍しながらYouTubeチャンネル「TAIKINOAH」でパートナーとの日常を投稿するTaikiさん。「出演者に対しては一人一人、丁寧にヒアリングを重ね、みんなが愛されるような人、番組であるということを常に心がけて制作に挑みました」と語っています。スタジオMCにはMEGUMIさん、ホラン千秋さん、青山テルマさん、そしてドリアン・ロロブリジーダさんもいらっしゃるそうです。

ボーイフレンド(全10話)
Netflixで7月9日、配信スタート



7月11日放送
恋人たち 

 橋口亮輔監督が手がけた「お母さんが一緒」が7月12日に劇場公開されることを記念し、BS松竹東急「よる8銀座シネマ」で橋口監督の名作「恋人たち」が放送されます。
 現代に生きる3人の孤独な男女を描いた人間ドラマであり、世の中の不条理に直面する人々の感情を丁寧に掬い上げたリアルな群像劇。ゲイに限らず、世間の理不尽さに泣いたことのあるすべての人にとって、これ以上ないくらいカタルシスな名作です(レビューはこちら)。キネマ旬報ベスト・テンの日本映画部門で1位を獲得するなど高く評価された作品です。

<あらすじ>
 都心に張り巡らされた高速道路の下。橋梁のコンクリートに耳をぴたりとつけた篠塚アツシが、ハンマーでコンクリートをノックする。機械よりも正確な聴力を持つ彼の仕事は、音の響きで破損場所を探し当てる橋梁点検。そんな彼は、数年前に愛する妻を通り魔殺人事件で失い、悲しみに打ちひしがれ、荒れた生活を送っていた……
 東京近郊。高橋瞳子は自分に関心を持たない夫と、そりが合わない姑と3人で暮らしている。同じ弁当屋に勤めるパート仲間と共に皇室の追っかけをしたり、小説や漫画を描いたりすることで何とか日々をやり過ごしている。だがある日、パート先で知り合った取引先の男・藤田弘とひょんなことから親しくなり、次第に瞳子は藤田に惹かれていく……
 企業を対象とした弁護士事務所に勤める四ノ宮は、エリートである自分が他者より優れていることに疑いを持たない、いけすかない男。しかし、四ノ宮はゲイで、高級マンションで同性の恋人と一緒に暮らしていた。順風満帆に見えた彼の人生が、些細なことをきっかけに崩れていく……

恋人たち
2015年/日本/監督・脚本・原作:橋口亮輔/出演:篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、山中崇、内田慈、山中聡、リリー・フランキー、木野花、光石研ほか
BS松竹東急で2024年7月11日(木)20:00~22:30放送




7月12日公開
ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ

 スペインの巨匠でありオープンリー・ゲイのペドロ・アルモドバル監督(『バチ当たり修道院の最期』『神経衰弱ギリギリの女たち』『アタメ』『キカ』『バッド・エデュケーション』『アイム・ソー・エキサイテッド!』『ペイン・アンド・グローリー』)が、『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホークと『THE LAST OF US』のペドロ・パスカルを主演に迎え、男性社会で生きるクイアの保安官たちの切ない愛を濃密に描いた西部劇ドラマ短編作品を作りました。アルモドバルが短編を撮るのも珍しいことですし、西部劇ドラマというジャンルもおそらく初めてです。イーサン・ホークとペドロ・パスカルというイケオジ2人が愛し合うシーンはもちろん、サンローランのクリエイティブディレクター、アンソニー・ヴァカレロが手がけた色鮮やかな衣装も見どころだそうです。
 
<あらすじ>
1910年。若き日にともに雇われガンマンとして働いていた旧友の保安官ジェイクを訪ねるため、シルバは馬に乗って砂漠を横断する。メキシコ出身のシルバはしっかり者で感情的、つかみどころがないが温かい心の持ち主だ。一方、アメリカ出身のジェイクは厳格な性格をしており、冷淡で不可解で、シルバとは正反対だった。出会ってから25年が経つ2人は酒を酌み交わし、再会を祝い愛し合う。しかし翌朝、ジェイクは前日とは打って変わり、シルバがここへ来た本当の目的を探ろうとする…。

ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ
原題:Extrana forma de vida
2023年/スペイン・フランス合作/31分/G/監督:ペドロ・アルモドバル/出演:イーサン・ホーク、ペドロ・パスカル、ペドロ・カサブランク、マニュ・リオスほか
7月12日よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国で公開。鑑賞料金は一律1000円




7月12日公開
お母さんが一緒

 橋口監督の9年ぶりの監督作となる『お母さんが一緒』は、ペヤンヌマキさん主宰の演劇ユニット「ブス会」が2015年に上演した同名舞台を基に橋口監督が自ら脚色を手がけ、CSホームドラマチャンネルが製作したドラマシリーズを再編集して映画化したものです。ペヤンヌマキさんはAV監督で、エロの現場で働く自らの経験をもとに、コンプレックス活用法を探る『たたかえ! ブス魂〜コンプレックスとかエロとか三十路とか〜』という半自伝的エッセイも出していたり、また、劇作家でもあって、演劇ユニット「ブス会」では、境界線に立たされた女性たちの悲喜こもごもから、現代日本に生きる女性のリアルをあぶりだしつつ、時には『したたか』に、時には『しなやか』に逞しく生きる女性の姿をシニカルさと優しさが共存する観察眼で描いた作品を発表しているという、実に魅力的な才人です。『お母さんが一緒』は「母親みたいな人生を送りたくない」という共通の思いを持つ3人の娘たちがお互いを罵り合う修羅場が描かれる「笑って泣けるホームドラマの傑作」です。橋口さんは、たとえば『ハッシュ!』でも女性の生きづらさを本当にシリアスに描いていたり(一方で冨士眞奈美さんを実に素敵に描いていたり)してきた方ですので、女性だらけな今作も(フランソワ・オゾンの『8人の女たち』みたいな感じかなと想像しますが)きっと面白い作品になっていると思います。LGBTQ映画ではないかもしれませんが、よろしければご覧になってみてはいかがでしょうか。

<あらすじ>
親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美は優等生の長女と比べられたせいで自分の能力を発揮できなかった恨みを心の奥に抱えている。三女・清美はそんな姉たちを冷めた目で観察する。「母親みたいな人生を送りたくない」という共通の思いを持つ3人は、宿の一室で母親への愚痴を爆発させるうちにエスカレートしていき、お互いを罵り合う修羅場へと発展。そこへ清美がサプライズで呼んだ恋人タカヒロが現れ、事態は思わぬ方向へと転がっていく…。

お母さんが一緒
2024年/日本/106分/G/原作:ペヤンヌマキ/監督:橋口亮輔/出演:江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ちほか
2024年7月12日より公開

 

7月19日 東京
出櫃(カミングアウト)中国 LGBTの叫び

『出櫃(カミングアウト)中国 LGBTの叫び』は、当事者がおよそ7000万人いると推定されていながら決してLGBTQに優しくない、根強い偏見が残る中国で、親にカムアウトしようとするゲイとレズビアンの若者の姿を描いたドキュメンタリーです。東京ドキュメンタリー映画祭2019の短編部門でグランプリを受賞しています。
 7月19日、早稲田大学スチューデントダイバーセンター・GSセンターがこの映画の上映会と監督トークイベントを催します。企画した学生スタッフのルーさんは、日本以外の東アジア地域のLGBTQ+の生き様について学ぶ授業を受けた際、韓国や台湾の話はたくさん扱われるのに中国についてはあまり言及されるない感じがして、中国のLGBTQ+はどのような現状にあり、どのような生活をしているのかについて知る機会が必要だと思い、この上映会を企画したんだそうです。上映後に監督の房満満さんを招き、映画を製作した際の思いや中国のLGBTQ+の現状に関するお話を聞くそうです。

<あらすじ>
中国・江蘇省で教員資格の認定試験を控える谷超(グーチャオ)は、自身がゲイであることを父親に告白しようと決心する。一方、上海に暮らす安安(アンアン)は、19歳の時に母親にカミングアウトしたが、受け入れられないまま32歳になった。今はパートナーの丹丹(ダンダン)と暮らしていて、LGBT支援グループの助けを得て、あらためて母親と話し合い、受け入れてもらおうとするが……。

出櫃(カミングアウト)―中国 LGBTの叫び
2019年/54分/日本/監督:房満満

『出櫃(カミングアウト)中国 LGBT の叫び』映画上映会&監督トークイベント
日時:2024年7月19日(金)13:00-15:00(イベント開始時間の約10分から入場可能です)
会場:申し込んだ方にのみ別途お伝えします
参加費無料
参加対象:早大生/院生、他大生/院生、その他一般の方
申込みはこちらから


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